王都燃ゆ 2
……これはやりにくい。
イシュルはヘンリクの顔を見て、心のうちに複雑な感情が湧き上がるのを感じた。はっきり、それをもてあました。
後ろでミラとリフィアが跪く。
ミラはイシュルやリフィアの態度から、階段を下りてきた男がアンティオス大公、ヘンリク・ラディス本人だとすぐにわかったようだ。
いろんなものが入り混じったこの男の表情。
ちょっと予想と違った。このひとはこの状況でもっと強気に、こんな弱みはみせてこないと思っていた。
「お久しぶりです。大公殿下」
イシュルは右手を胸に当て、かるく腰を折ってみせた。
……だが、今は彼の悲哀に付き合っている暇はない。そんなことは彼自身もわかっているだろう。
なるべく早くこの男とふたりきりで、腹を割って話す機会をつくらないといけない。
「うむ。ひさしぶりだ。イシュル君、あれからきみも……」
ヘンリクが眸を細め、イシュルを見る。近づいてくる。
しかし、外から騒々しい、ひとの気配が迫ってくる。
「父上!」
ペトラが外から駆け込んできて、ヘンリクの前で立ち止まった。
「おお、ペトラ。来てしまったんだね」
ヘンリクは顔つきをがらりと変え、中腰になって自らの愛娘を迎えた。
「父上が決められなかったから、大変じゃったわい」
ペトラはヘンリクに抱きついたりしなかった。
ヘンリクの両腕がそんなペトラの脇を抱きしめようか、やめようか、ふらふらと上げ下げされている。
「……」
今は駄目だな。
イシュルはため息をつくと、館の外に出ようとした。
マーヤの姿が見えない。彼女がどこにいるか気になる。ヘンリクの連れてきている魔道師たちか、トラーシュやルースラのような参謀役のところにいるのか。
イシュルがミラとリフィアに声をかけようと後ろへ振り向こうとした時、ヘンリクたちの影からもうひとりの男が姿を現し、近づいてきた。
「イシュル殿。ご無沙汰していた」
黒ずくめの長身の男がイシュルに視線を落としてきた。
片方の眉が、いつかのように神経質に引き上げられている。
ヘンリクにただひとり付き従ってきた宮廷魔道師。俺の前にただひとり、姿を現した大公の側近中の側近。凶々しい、真っ黒の両腕のガントレットも以前と変わらない。
「大公殿下とふたりだけで話がしたい。手配していただけますか」
イシュルはやや硬い表情で、視線でドミル・フルシークの灰色の眸を見すえた。
「ふん。わかった」
ドミルにはそれで通じた。彼は僅かに白い歯を見せて、凄みのある笑みを見せて頷いた。
くすんだ色の下草に、瀟洒な木々の重い緑が織り成す館の敷地、そこに白いテントが並んでいる。
テントの影に一箇所、多くのひとが集まっているのが垣間見える。
「マーヤはどこにいるかな」
イシュルはその集団の方に目をやりながらリフィアに言った。
「マーヤ殿はあそこにいるんじゃないか。見たところ何人か、宮廷魔導師も混じっている」
リフィアがその集団の方を指差す。
「風の魔法具を持つお方」
後ろから、シャルカが声をかけてきた。彼女は館の外でイシュルたちを待っていた。
「あの鶯(うぐいす)の風の精霊ですわ」
と、ミラ。
「ああ」
頭上を見上げると、あのお化け鶯が館の上を弧を描いて飛んでいる。
……剣さま、ぼくがあいつと話すよ。
脳裏にヨーランシェの声がする。
するとイシュルから少し離れた木々の木陰に、ヨーランシェが姿を現した。
鶯の精霊は彼の前に降り立つと、彼の周りでひょこひょこと小さく飛び跳ねながら、踊るようにな仕草をした。
ふたりの精霊はあれで何か話していたのか、しばらくするとお化け鶯は空に飛び立ち、瞬く間に背景に溶けるように姿を消した。
ヨーランシェも直後に姿を消すと、すぐイシュルの前に現れた。
「軍勢を仕切っている軍師のような人間が何人かいたでしょう? 彼らも馬を飛ばして、夜にはこの街に着くようにするって。他の人間たちにも伝えて欲しいってさ」
「そうか。わかった」
トラーシュやルースラ・ニースバルドが本隊から先行してくる、ということだろう。
イシュルはヨーランシェに返事をすると、テントの奥に集まっている人びとの方へ歩いて行った。
心なしか、館の周りを行き来する兵士やメイドたちの数が増え、動きが慌ただしくなっているような気がする。
近づくと、テントの脇に集まった人びとの中にマーヤの姿があった。彼女の周りには、黒や茶色のローブ着ていたり、灰色のマントを羽織った魔導師らしき者たちが集まっていた。
「イシュルさん!」
その中から、イシュルの名を高い声で叫んで少女がひとり、飛び出してきた。
白いチュニックに明るい茶色のズボン、革のブーツとベルトに小手。灰色のマントがひるがえる。右手に持つ金属製のステッキは水の魔法具だ。
「ニナ!」
イシュルも目の前に駆けてくる少女の顔を見て叫んだ。
赤帝龍討伐でフゴまで同行した水の魔法使いの少女、ニナはあの時は後ろに縛っていたブルネットの髪をふわりと広げ、イシュルの許へ駆けてきた。
「お久しぶりです! イシュルさん!」
爽やかな笑顔が眩しい。
一年ぶりか、ニナはその短い間に、大人の女性らしい柔らかさと、色香まで漂わせるほどに成長していた。まるで蕾が花開くように、可憐に。
「きれいになったね。びっくりしたよ」
イシュルが優しい笑顔になって言うと、ニナは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いた。
「あ、あの……。うれしいです」
「魔法の修行は進んでる?」
イシュルの何気ない、魔法使いになら誰もが投げかけるであろう挨拶代わりの言葉。
だが、その“修行”という言葉には、イシュルとニナしか知らない“秘密”が隠されていた。それはこの世界の魔法使いが誰も知らない、“禁忌の魔法”の“修行”だった。
「はい。今度、見てください」
ニナはイシュルにだけ聞こえるように、囁くように言った。
秘事に関わることだから小声で話すのは当然だが、ニナの表情はその声音に反してとても明るい。以前とは違う、力強い自信のようなものが彼女の面(おもて)にはっきりと表れていた。
……ふむ。あの魔法の修行、だいぶうまくいっているらしい。
以前の彼女の訥弁も、もうほとんど出てこない。
イシュルがニナに教えた魔法とは、生物の体内から水分を、強制的に体外に放出させてしまう、ある意味最も苛烈かもしれない死の魔法だった。
「ご、ゴホン……」
「なっ、なんてことですの! これはいったい、どういうこと……」
イシュルの後ろから、看過できない危険な空気が漂ってくる。
「確か、フゴでお会いしてるかな。スルース殿」
イシュルの横にリフィアが進み出てニナに声をかける。
「ニナ・スルース! 確か、赤帝龍討伐でフゴまでイシュルさまと同行していた、宮廷魔導師の方ですわね」
同時に、ミラがイシュルの横に並び言ってくる。
ミラ……。どこまで俺のことを調べていたんだ。ちょっと恐いぞ。それ……。
「あ、あの辺境伯さま。お久しぶりです……。そちらは聖王国の……」
ニナが胸に左手を当て、かるく腰をかがめてふたりに挨拶する。
「わたしは辺境伯代理、だがな」
「わたくしは聖王国は五公家、ディエラード家の──」
イシュルを挟み、三人の女たちが挨拶を交わす。
ニナはミラが誰か知っているようだ。彼女の耳にもすでに、聖都での一件は届いているのだろう。
しかし緊張して硬くなるニナ、彼女にも増してリフィアとミラの口調が硬い。
「……」
ふたりのこの感じ。危険だな、これは。それに状況が状況だ。この場は何とかうまく……。
「イシュル、国王軍が敗れた。陛下も討ち死にされたみたい……」
そこでマーヤがイシュルの前まで来て言った。
彼女は顔色を失い、声を震わせている。
ニナとミラたち、イシュルの一触即発の空気はどこかに吹き飛んだ。
マーヤの後には王家や大公家の魔導師と思われる者たちが、いずれも硬い表情で並び立っている。
人数は彼女の他に七名。男が五名、女が二名で、長剣に平服の、剣士風の出で立ちの男以外は皆、黒や明灰色のマント、ローブを着用している。誰が王家の宮廷魔導師か、大公家の魔導師かはわからない。マーヤのような大きな木彫りの魔法の杖を持っている者もいる。
「……」
マーヤの言ったことは先ほど、大公本人から聞いている。ヘンリクにはすでに国王討ち死に、王都異変の報も届いている。
イシュルは無言で頷くと、マーヤから周りの者を見渡し、眸を細めて言った。
「ヨーランシェに見てきてもらった件だが、連合王国軍の支隊は今王都に侵入して、街に火をつけているようだ」
ペトラたちにはシェルバルへ向かう途中、空中で「ヨーランシェを物見に出して、敵軍がもう王都に侵入していることがわかった。火急の事態なので本隊に先行し、大公に会う」としか伝えていない。
「えっ」
「なっ!」
「なんだと……」
イシュルの言ったことは彼らには初耳だったらしい。みな仰天している。
「街に火を? それは本当か、イシュル」
リフィアが横から言ってくる。
ミラも顔を青くしている。ニナも同じだ。
この世界、時代であっても、街中で大火災が発生することの恐ろしさは変わらない。
「なぜそんなことを……」
イシュルがリフィアに頷いてみせると、マーヤの背後に居並ぶ魔導師たちの中からそう呟く声が聞こえてきた。
やつらがこれから支配するであろう、街の住民の恨みを買うだけで、多くの人命と資財を失い、まったく益のないことのように思えるのだが……。
「攻城を有利に進めるためかな」
マーヤが視線を落として小さな声で言った。
「王城にはデューネさまもネルダさまもいる。多くの城兵もいるだろうし、城に残された魔導師もいる筈」
マーヤは他に魔導師見習いの者、引退した者も多数、籠城している筈だと続けた。それらの者だけでも人数は数百名にのぼり、数が多い分、有力な戦力になるだろうと言った。
マーヤは敵が街に火をつけたのは城兵の動揺を誘うため、と考えたのだろうか……。
ちなみにデューネとは王妃、ネルダはマリユスのひとり娘、王女の名である。
「確かに残られた王家の方々をはじめ、城兵がうまく戦えば、王城を落とすのに敵側も苦労するかもしれない。我が軍の救援も間に合うかもしれん」
剣士風の格好をした男が言った。
魔導師たちはイシュルやマーヤよりやや年上の、二十歳(はたち)くらいから三十代くらいの年齢の者が多い。剣士風の男は中でも年長の方だ。
……マリユスが出陣しても、王城にまだかなりの戦力が残されているのはわかった。
デューネとネルダはかなり強力な魔法具を持っているだろうし、王城には魔封陣のような罠もあるだろう。
確かにうまく戦えば、ユーリ・オルーラ相手でも多少の持久はできるかもしれない。バリスタールの時と違い、相手のやり口はわかっている。
俺にとっては籠城戦で書庫が燃えてしまわないか、そちらの方も心配なわけだが……。
「敵は王城にも火を放つだろうか」
イシュルがマーヤに質問すると、代わって同じ剣士の格好をした男が答えた。
「それはないと思う。王城には王家の宝物庫や金蔵があるからな。やつらとて金銀財宝は欲しいだろう。それに、街に火をつけたのは……」
その時、背後にすーっと現れるひとの気配。
イシュルは後ろへ振り向いた。
「敵が街に火をつけたのは、街道を避難民で埋めるためだ」
数歩先に、ドミル・フルシークが立っていた。
……何も魔法を使っていないのに。
気配のつかみにくい歩き方をする。こちらがマーヤたちとの話に集中していたせいもあるが……。
「やはり大公軍の進軍遅延が目的か」
イシュルがドミルを睨みながら言うと、みな一瞬、両目を見開きイシュルの顔を見た。そして一様に頷いた。
「ヘンリクさまが会われる。同行願おうか、イシュル殿」
ドミルはにやりと笑うと、イシュルに視線を落として言った。
イシュルについて行こうとするミラとリフィアを制し、ふたりに小声で「大公とふたりきりで話してくる」と告げると、イシュルはドミルとともに城館に戻った。
「敵も怖れているのだ。貴公を」
イシュルが横に並ぶとドミルが言ってきた。その口許には先ほどの歪んだ笑みが浮かんだままだ。
いや、……それはちょっと違うだろう。
敵軍が怖れているのはおそらく、俺とヘンリクの率いる大公軍が同時に、そしてやつらが王城を落とす前に、王都の戦力を殲滅する前に到着し、会敵することなのだ。
金の魔法具を持つユーリ・オルーラは常に自軍を率い、兵らとともに戦ってきた筈だ。俺とは違い、単独で、少人数で戦うことは少なかったのではないか。
彼らには彼らなりの、今までの経験で得た戦い方があるのだ。
街に火をつけ、街の住民を追い出しそれを壁にする──そのやり口に、彼らの経験してきたことが如実に表れているような気がする。
……そこに、こちらのつけ入る隙はないだろうか。
ふと気づくと目の前に館の出入り口があった。ドミルが先に中へ入っていく。
いつの間にか、開かれた扉の両側には槍を抱えた衛兵が立っていた。
薄暗い玄関ホールには、珍しく心配そうな顔をしたペトラと、騎士団長らしき甲冑を着た武将、大公家の文官や執事らが控えていた。
ペトラの隣にはヘンリクが先ほどと同じ、力ない笑みを顔に貼りつけ立っていた。
「イシュル……」
イシュルはペトラの横を通り過ぎ、ヘンリクの前に立った。
「では来たまえ。イシュル君」
ヘンリクはドミルと意味ありげに視線を合わせると、イシュルにひと声かけてホールの奥へ背を向けた。
「……」
イシュルはそこで、ペトラに笑みを浮かべひとつ頷いてみせると、ヘンリクの後について行った。ドミルも後に続いた。
ヘンリクは正面階段横を奥に抜け、客間、晩餐室、控え室などを抜けて、城館一階の一番奥の部屋に入った。
その部屋は南北方向にやや長く、館の東側、少し緑のくすんだ芝生の広がる庭園に面していた。
中には書記役の者か、平服の者が立派な黒檀の机に巻き紙を広げ、さかんに筆を走らせていた。
室内には落ち着いた色調の長椅子やテーブル、チェストなどがいくつも置かれ、西の壁側には暖炉があった。
「外に出よう」
書きものをしている男はヘンリクが入ってきても顔も上げず、ただひたすら羽根ペンを動かしている。
ヘンリクもその男を無視し、イシュルに声をかけると、庭側に面した扉を自ら開けて外に出た。
イシュルは開かれた扉にちらっと目をやった。ローズウッドの枠にガラスの嵌まった、田舎ではまずお目にかかれない洒落た造りの扉だった。
「わたしはここで」
後ろでドミルの声がする。
ヘンリクは片手をかるく上げただけで、庭の奥へと歩を進めて行く。
芝生の緩やかに起伏する先には、樫(かし)や楠(くすのき)が重い葉色を幾重にも重ね、密生している。南側の端の方には、垣根のような形に整えられた山茶花(さざんか)の紅い色がちらちらと浮かんで見えた。
ヘンリクは館の東側に広がる芝生の真ん中に立つと言った。
「ここら辺でいいかな」
「はい」
イシュルが頷くと、ヘンリクはわずかに緊張した笑みを浮かべた。
その微笑みは何も変わらない、相変わらず悲しみを隠そうとして隠しきれていない、そんな風に見えた。
「きみとこうして話すのも、フロンテーラの郊外で馬車の中で話して以来だ」
「……」
イシュルが無言で頷くと、ヘンリクは視線を外し、木々の茂る方を見て言った。
「あの時はきみとわたしの、いわば取引だった。だが今回は違う」
ヘンリクが一瞬、鋭い視線を向けてくる。
「いや、それも違うか。前回も今回も、わたしときみの立場は変わらない。わたしはきみに縋(すが)るしかない。その構図は変わらない」
そこでヘンリクはまた顔をそらし、小さくため息をついた。
「ペトラのことはありがとう、と礼を言うべきなのだろうな。マーヤから委細は聞いている」
マーヤから委細は聞いている、とは彼女から手紙等で報告を受けている、ということだろう。
彼女はあの茶色の服の男たちを動かす立場にいる。俺がフロンテーラに着いてからのことは、すべてこの男に報告が行っているだろう。
「ペトラのことはわざとですか?」
イシュルはそのまま、何の敬称もつけずに大公の娘の名を呼んだ。ヘンリクの顔にまた、寂しげな笑みが広がる。
ヘンリクはペトラの出陣を決断できなかったのではない。
このひとは、マーヤの心の動きも読んでいたのだろうか。ふたりの間で決めるよう、あえて仕向けたのではないだろうか。
それなら彼の言ったという、「ペトラの意志に任せる」は、実は冗談でも苦し紛れに出た言葉でもなかった、ということになる。
だがそれで、ペトラの出陣をめぐって多くの者が振り回されることになった。
「俺は、いらぬお節介を焼いてしまったんですかね?」
「いや、いいんだ……。マーヤの手紙を読む限り、きみは最高の仕事をしたと思う」
ヘンリクはまだ同じ笑みを浮かべている。
「……」
イシュルは無言でヘンリクの顔色を探った。
まだ彼の内心を、彼には吐露しなければならないことがある。
「きみは……そうだな。わたしの何を知ろうとしているのかな」
ヘンリクは穏やかな口調で言った。そしてまた視線を逸らした。
今度は西の空を見上げた。
西側には城館の、北東の角に高く突き出た尖塔がある。ヘンリクはその先に広がる薄く晴れた空を見つめていた。
「……わたしは兄上を見殺しにしたことを悲しんではいない。苦しんではいない。だが、王家に生を受けたことをこれほど呪わしい、と思ったことはない」
ヘンリクの眸は空虚な水色に染まっている。
ヘンリクは今は亡きベルシュ家の当主、父エルスの従兄弟でファーロの息子、エクトルに似ている。そしてサロモンにも少し。
この男のサロモンと違うところは、彼のような決断力、あるいは思い切りがないところだ。
サロモンはルフレイドのこともあって、俺に自ら本心をさらけだしてきた。そうせざるをなかった。
「長兄であるマリユスとわたしは歳が離れていてね。幼い頃はとても可愛がってくれた。よくいっしょに遊んでくれた」
ヘンリクは再び視線をイシュルに戻し、死人のような顔になって言った。
「その兄をわたしは見殺しにしたのだ」
……俺が聞きたいのはそんなことじゃない。まだあるだろう。まだ、そんな顔になるのは早い。
「それから、何です?」
イシュルは言いながらかるく、右手を天にかざした。
風の魔力が輪環となって降ってくる。それは地上に落ちると円筒状に上へ引き伸ばされ、イシュルとヘンリクの周りを覆った。
直径が二十長歩(スカル、約十三m)ほどの風の魔力の結界。
今度はイシュルが薄く笑って言った。
「時間がない。そろそろ本題に入りましょう。この結界の中には誰も入ってこれない。俺たちの会話を聴ける者はいない。……この小さな世界にふたり、だけです」
サロモンの時とは違う。彼とは違う。この男の本心を引き出すには、少し強引にいく方がいいだろう。
この男の諧謔を、韜晦を引き裂くには。
「……」
ヘンリクは周りを見回すと、幾分声を落として言った。
「風の結界か。きれいなものだ」
周囲を覆う、薄く青く光る魔力の壁。集束された風の流れ。その向こうには少し離れて、ドミルらしい黒い人影がぼんやりと見える。
そしてヘンリクは何度目かのため息をつくと、眉を引き上げイシュルを見つめてきた。
「きみがそう言うのなら、わたしはわたしのただひとつの願いを、望みを話そう。本当は兄の死も、
ネルダ姫も、王妃の死も、わたしにとって大したことではないのだ」
イシュルはほんのわずかに首をすぼめた。ヘンリクの顔が近づいてきたような気がした。
楽しさ。可笑しみ。皮肉。……それらを失ったヘンリクの顔はむしろ、ありきたりな平凡な中年男のそれだった。
いや、眸の奥底には小さな輝きがあった。イシュルを当惑させたのはその輝きだった。
「わたしの願いはただひとつ。ペトラだ。娘の幸せだ。あの子が将来王位につき、この王国で家臣ども、領民どもと幸せに暮らしていくことが、わたしの唯一の望みだ」
ヘンリクは表情を変えず、続けた。
「わたしはそのために生きている。そのために王権を得る」
そしてその顔に、むしろ暗い情念を浮かべた。
「亡き妻、ヴァレンティーナと約束したのだ。彼女との誓約を違(たが)えるわけにはいかない」
イシュルはヘンリクの眼光に負けじと、じっと彼の眸を見つめた。
サロモンは己のルフレイドへの愛には、ただ無力だった。ヘンリクは無力どころか、ペトラへの愛、そのものに生きていた。
いや、ヘンリクはむしろ俺の方に似ている。今な亡き、死んだ者に対する愛情に囚われ続けている。
「わたしはきみに何も、隠すつもりも、駆け引きするつもりも、最初からなかったのだ。最初に言った通り、わたしはわたしの望みのために、きみに縋るしかないのだ」
ヘンリクは力ない、だが今度は諧謔も韜晦もない笑みを見せて言った。
「ペトラを助けてほしいのだ、きみの力で。連合王国を我が王国から駆逐して欲しいのだ」
そこでヘンリクは両手をイシュルに差し出してきた。
彼の笑顔が突然、力強いものになる。
「次はきみの番だよ。いや、……きみこそがわたしに願うのだ。きみの意思を」
ヘンリクは胸を張った。
彼の背後で風の障壁が煌く。
「わたしに見せてくれ」
イシュルは両目を見開きヘンリクの輝ける顔貌を、全身を見つめた。
そして小さく笑みを浮かべた。
……ふふ。
俺はひとと交わるたびに、自身の矮小さを突きつけられる。
「俺の願いは……」
俺の意思は。
イシュルの言葉は一度、掠れて消えかかった。
「金の魔法具を得ることだ。力を貸していただきたい。大公」
今俺は彼のように、寂しげな笑顔になっていないだろうか。
「俺は俺のやり方でやつと戦う。ユーリ・オルーラと」
今はあの書記役もいない。館の東に面した部屋にはイシュルとヘンリクにドミル、そしてリフィアとミラがいた。他には衛兵も使用人も、誰もいない。
「……というわけで、敵支隊は王城に侵入し、街区に火をつけた。今頃はおそらく、王城で戦闘がはじまっている」
イシュルたちは書記が使っていた黒檀の机を囲み、その上に広げられた王都周辺の絵地図を見入っている。
「落城も時間の問題だろう」
ドミルが仕切り、全般の説明役となっている。
あれから、イシュルが風の結界を解くとヘンリクはドミルを呼び、イシュルの意向にそって連合王国軍攻撃の準備をはじめるように命じた。
イシュルはその場でユーリ・オルーラとどう戦うか、ふたりに概略を述べ、リフィアとミラを連れてきてもらうようにお願いした。
リフィアとミラが揃い、ヘンリクに初めて拝謁を賜るということでミラが仰々しい挨拶をすると、そのまま彼ら、わずか五名だけで連合王国軍討伐のいわば軍議がはじまった。
イシュルはまずヘンリクらに、国王軍と敵軍でどのような戦(いくさ)が行われたか、その説明を求めた。
ドミルは大公配下の影働きを複数名、国王軍に忍ばせていた。彼らのうち数名は無事シェルバルに帰還し、ヘンリクらは両者の戦闘の概要を知ることができた。
国王マリユスは連合王国軍支隊の接近を知ると、宮廷魔導師主力と王家騎士団、王都に集合していた諸侯の主に騎馬隊を率いて王城を出撃した。同時に多数の物見を放ち、敵の野営時をねらって払暁時の奇襲を企図したが、敵陣の防御が固く断念、迎撃に有利な王都北方二十里長(スカール、約十三km)、北側のヴォカリ村と南のケフォル村の中間点、軍都街道(王都ラディスラウスと城塞都市アンヘラを結ぶ街道)沿いに布陣した。
マリユスが敵軍野営時の攻撃を断念したのは、敵が野営地の周囲を鉄の壁で覆い、付近に金の大精霊と思われる、強力な精霊の存在が確認されたからである。
国王軍は予定の邀撃地点に達すると、宮廷魔道師と、武神の魔法具を持つ騎士らを中心とする数十名の前進部隊を編成、先行させ、本隊の囮となって敵軍魔道師の精霊や物見の偵察行動を吸引、妨害した。
その間に国王軍は敵軍の邀撃準備を終え、各隊を周囲に散在する丘陵部や木々の影、東から街道へせり出した森の林間に隠蔽した。一部は草地に壕を掘って身を隠した。
ユーリ・オルーラ率いる敵軍は、日暮れとともに国王軍の待ち受ける軍都街道に姿を現した。
敵支隊は情報どおり、騎馬三百を主体とする機動力を重視した編成だった。敵軍は王都の占領維持を企図せず、国王軍の無力化及び、国王マリユスⅢ世を捕らえ、あるいは討ち取ることを目的としているのは明白だと思われた。
暮れなずむ街道を軽快に進む敵騎馬隊が、攻撃発起点に差し掛かったと同時、国王軍は一斉に攻撃を開始した。
まず、敵に正対する位置に隠れていた土の魔道師らが、敵騎馬縦列の足下の地面を一部陥没させ、前面に土壁を出現させた。
敵の足を止め混乱が生じたところで、数名ずつに分かれ周囲に潜んでいた、百名近い宮廷魔道師が、精霊たちが同時に魔法を放った。同様に散開していた弓兵が無数の矢を放った。
直後に、東側後方の森に隠れた竜騎兵が敵軍後尾に向け進撃、続いて重騎兵が敵縦列中央から前部に向け突撃を開始した。
国王をはじめとする軍首脳部の策は見事に的中し、敵軍勢は瞬時に殲滅されるかと思われた。
しかしその目前で、天地を覆わんばかりの大異変が起こった。
周囲数里長(スカール、二、三km)に及ぶ地面を、空を、突然巨大な魔力が覆い、それが無数の光点となって、次の瞬間には数えきれない大小の鉄片となった。
それは空を走り地に突き刺さり、地中から突き出て空高く吹き飛んだ。
濃密な鉄の嵐は地を裂き空を裂き、国王軍を引き裂いた。
やがて大地は鉄と人馬の血肉に埋もれた。
国王軍主力は勝利を目前にして壊滅した。
マリユスⅢ世は魔道師長や軍監、その他近衛の者らとともに、森の中に陣を敷しいていた。林間に大木を選び、かるく手を加え見張り櫓として使っていた。
それを金(かね)の大精霊と思われる強力な精霊に発見され、攻撃を受けた。自軍の敗北を知り、何の命令も、決断も下せぬ間のことだった。
宮廷魔道師長の風の精霊も近衛の精鋭たちも、“王家の紅炎”と呼ばれる火系統の魔法具を持つ国王自身も、まともな反撃ひとつできず金の魔法に切り刻まれた。
金の精霊は森の中に、蜘蛛の巣のように鋭利な鉄線を瞬時に、幾重にも張り巡らした。林間をあらゆる方向に走る鉄線は血肉をはじき、木々の下に零れ落ちる月光にところどころ、きらきらと光って見えた。
一瞬のうちに終わりを告げた両軍の戦闘後、運よく死を免れたラディス国王軍の兵らは、動ける者はみな、散り散りになって王都へ敗走した。
無事王都に退却できた国王軍兵力は、出撃時の十分の一にも満たなかった。
ドミルの説明が、敵軍が王城攻撃に入ろうとしているとの段で終わると、イシュルは机の上に広げられた王都の絵地図の、王城の描かれた辺りに目をやった。
王都周辺の複雑な地形、そして王城の大きさ……。
目の前に広がるそれらの絵柄はだが、今は頭の中に入ってこない。
国王軍の布陣、そして邀撃。
マリユスは、彼のとった作戦は、あの状況でこれ以上は望めない、最も模範的なものだったのではないか。
先日ミラが、「俺だったらどう戦う?」と聞いてきたが、マリユスと彼の幕僚が企図した作戦は、俺の考えていたこととほぼ同じだった。彼らは敵の総大将の金の魔法の力を、バリスタールで起こったことをよく吟味し、既存の大時代的な戦法にこだわらず、合理的な作戦を立案した。
特に有力な囮部隊を前進させ、敵方の精霊や影働きなど斥候の動きを吸引したのは、戦(いくさ)を生業とする騎士、領主たちからすれば当然のことなのかもしれないが、俺からすれば、かなり優れた用兵のように思えた。
王宮にも人はいる。それは当然のことだ。王都の混乱を嫌った、マリユスⅢ世の王都郊外への出陣も妥当なものだった。
「国王軍の作戦は、極めて妥当なものであったと思います」
ドミルは敵が王城攻略に入った話をして、俺に自身の作戦案を詳しく話すよう水を向けてきているが、このことはひと言、どうしても云わずにいられなかった。
彼らは立派に戦った、それだけではなかった。勝利を確信して、勝つために戦ったのだ。
一国の命運をかけた戦(いくさ)なのだ。そんなこと、当たり前のことなのかもしれないが……。
「確かに王国軍の戦術には、何の瑕疵もないように思える」
リフィアが横から硬い口調で言った。
「強力な魔法戦力に対する、模範的な作戦案だったと思いますわ」
ミラも同じようなことを口にする。
「……」
「そうだな」
ヘンリクは無言で微笑み、ドミルはそう言って首肯した。
「だがやはり、敵将の金の魔法具の力を凌駕することはできなかった」
「……はい」
ドミルが続けて言うと、イシュルはゆっくりと頷いた。
そして絵地図の王都の南側を指差し、その指先を王城の南側へ移動すると顔を上げ、一同を見回し言った。
「では俺の考えている作戦を話します」
イシュルはそれから、オークランス城でリフィアとミラに話した作戦を元に、シェルバルで知った状況変化を加味した、より具体的な作戦案をヘンリクとドミルに説明した。
イシュルは王都街道がこの先、王都に近づくにつれ難民で溢れ、まともな進軍が不可能になることを考慮し、シェルバルの先で南西に別れるクストレール街道、別名南街道を進み、王都の南側から街区、続いて王城に進入する案を示した。
今晩、深夜にシェルバルを騎乗で出発、払暁時に馬を捨てその後は王都を囲む丘陵、森林地帯を突破し、街区を抜けて状況を見ながら王城に進出する。その後は先日リフィアとミラに話したとおり敵将を北につり上げ、王都郊外にて決戦に持ち込む。
この作戦を成立させる前提として、風の魔法具を持つ者の出現を、最大の脅威の存在を敵の総大将にしっかりと、確実に認識させる必要があった。
でなければ当然、敵将はイシュルを、あるいは牽制として囮になるヨーランシェを追いかけてはこない。敵を郊外に誘い出すことはできない。
「……」
イシュルは説明を終わると、ドミルの顔を意味ありげに見つめた。
クストレール街道や他の街道をはじめ、王都周辺の地理に関してイシュルは、ルースラ・ニースバルドや軍監のトラーシュ・ルージェクに行軍中、夜間にたびたび酒席に招かれ、その時に質問を重ねて、基本的な説明は受けている。
王都の周囲は東に向かう王都街道、北に向かう軍都街道の他にも大小の街道、間道が四通八達し、多少の迂回を厭わなければ、難民の影響を受けずに行軍することも可能であると思われた。ただし、万単位の大部隊の移動が困難であることは明白だった。
ある晩、その酒席でルースラは、王宮でも限られた者しか知らされていない、裏道、秘道の存在を匂わせた。イシュルがトラーシュに視線を向けると、彼も無言で首肯して見せたのだった。
「……なるほど」
ドミルはイシュルの視線を受け止めると一瞬間を置き、ヘンリクと顔を見合わせると言った。
「貴公の言いたいことはわかった。南街道の途中で分かれ、王城南端に接続する隠し道がある。その秘道の使用を許可しよう。ただし、条件がある」
「きみたち三人だけで危地に行かせるわけにはいかない。我々の立つ瀬がない」
ヘンリクがドミルの言を引き継ぎ言った。
「武神の魔法具を持つ実力者をドミルの他に数名、きみたちの支援に付けたい」
ヘンリクはミラの顔を見て、それからイシュルに視線を向けてきた。
「ディエラード家の者を死なせては、サロモン殿に顔向けできないからな」
そう、軽口をたたいて笑みを浮かべた。
その後詳細を話し合い、イシュルたちが控えの間に出てくると、ペトラとマーヤ、それにシャルカがいた。
「父上、どういうことじゃ。妾も戦うぞ」
ペトラがヘンリクに縋るようにして身を寄せる。
「おお、ペトラ。まずお父さんの話を聞いておくれ、ね?」
ヘンリクが腰を落としてペトラに語りかける。
……この親バカが。
イシュルは横目にちらっと、そんな親子のやり取りを見ると、マーヤの前に立って言った。
「マーヤ。俺とリフィアにミラ、それにフルシーク殿と王都に先行して敵将を討つことになった。きみとペトラは連れていけない」
「ん」
マーヤがイシュルを見上げて頷く。その眸が微かに潤んでいるように見える。
……先日、オークランスでリフィアとミラには冗談半分で、「マーヤには気をつけろ」と言ったが、もう彼女に裏で動く時間はないにしても、いずれにしても、彼女ときちんと向き合って話さなないといけない。
「俺だけじゃない、殿下とフルシーク殿と話し合って、機動力を重視した人選になった」
イシュルはそう言うと、マーヤの耳許に顔を寄せて囁いた。
「ユーリ・オルーラは必ず討つ。ペトラを頼む。彼女を説得してくれ」
「わかったよ。……あの時と同じだね。無理しないでね」
あの時、とは赤帝龍と戦った時のことだ。
マーヤは小さな声で、でもイシュルに微笑んでみせた。
目の前に浮かぶ美しい女の幻。
……俺はいつの間にか、眠りに落ちていたらしい。
いや、眠ることができたのだ。良かった……。
でもなぜエルリーナの夢を見るのだろう。昼間、ニナに再会したからか。
愛しのエルリーナ。彼女はニナの契約精霊だ……。
「はっ?」
イシュルは目を醒ました。
起き上がろうとしたがからだを動かせない。目の前に、本物のエルリーナの美貌があった。
「エルリーナ……」
イシュルは青白く輝く精霊に、熱い吐息を漏らした。
「……」
エルリーナが無言で微笑む。
「エルリーナ」
その時誰か、別の少女の声とともに水の精霊の姿が消えた。
誰もいない筈の室内を、小さな灯りが動く。ベッドに横たわるイシュルの前に、ランタンが掲げられ、ニナの顔が照らし出された。
「イシュルさん」
「へっ? あれ?」
なぜニナが……。
イシュルは呆然と、暖かな光に浮かぶニナの顔を見上げた。
ヨーランシェはどうしたんだ。
「イシュルさん、お願いです。わたしも連れて行ってください」
ニナが小さな声で囁くように言ってきた。
「いや……」
イシュルは上半身を起こし、ベッドの横に佇むニナを見やった。
あれからイシュルたちは早めに夕食を済ませ、深夜の出撃まで休憩をとることになった。イシュルたちは各自、城館二階奥の客室に案内され、仮眠をとるように言われた。
「大事の前に眠ることなどできないかもしれないが、とにかくからだを休め、少しでもいいから気を落ち着かせなさい」
ヘンリクはそう言いってイシュルだけでなく、リフィアとミラにも個室を手配したのだった。
……部屋の前か、外の廊下のどこかには衛兵もいた筈だ。
「ニナ、それは無理だよ……」
イシュルは目を擦ると、ニナの青い眸を見つめて言った。
ニナは宮廷魔導師だ。衛兵らを何か、うまく言いくるめてイシュルの休む部屋に忍び込んできたのだ。
ヨーランシェは止めなかったのか……。
それもエルリーナを使って俺を起こすとは。ニナめ……。
「わたしも役に立ちたいんです。それに師匠のことも心配で……」
ニナは彼女の師匠、パオラ・ピエルカの名を出してイシュルを説得してきた。
「師匠も国王軍に加わっている筈です。わたしは乗馬も得意だから大丈夫です。師匠に教えてもらって、よく野駆けに行ってました」
「でもな……」
まだ頭がはっきりしない。
彼女は確かに、あの水魔法の腕も上げたろう。しかし相手は……。
「わたし、イシュルさんに教えてもらった魔法の修行を、たくさん積み重ねてきました。それで、新しい魔法も使えるようになったんです」
ニナは吃ることもなく、淀みなくすらすらと言い募ってきた。
そして双眸に不思議な色をたたえ、イシュルの右手を握ってきた。
瞬間、心臓が一度だけ、大きく脈を打った。
魔力らしきものが、体内に流れ込んでくる。
からだがわずかに熱を帯び、全身に力が漲っていく。意識も完全に覚醒した。
不快感はまったくなく、とても爽快な気分だ。
……これは。
人間の血脈を、からだの水分を完全に操ること、それは……。
「ニナ、きみは……!」
「……ふふ」
小さな灯りの中で、ニナは柔らかな笑みを浮かべた。
だがそれはイシュルにむしろ、恐怖さえ感じさせるものだった。
イシュルは愕然としてニナの顔を見つめた。
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