第77話
「—は、はいっ」
僕は、まだ少しだけ震える声で精一杯思いを伝える。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「あ、あの先輩」
裕也君がいつにもない真剣な顔、声で私を呼び止め、私は瞬間「—は、はいっ」と返事してしまう。それくらい、彼の目は真剣だった。私は、今、この人に告白されるんだと、誰でも分かるくらいに。その真剣な眼差しが私の胸を貫き、溶かし、胸がじわっと熱くなる。
「僕、先輩の事が…」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「好きです。大好きです。付き合ってください!!」
精一杯思いを伝える。うるさいくらいに鼓動が波打って、破裂しそうだ。もう引き返せないし、引き返したくない。
正直、恥ずかしくて先輩の顔が見れなくて、今も頭を下げたままだ。二人だけの、他のものは何もなくなったみたいに、麗華先輩の事しか考えられない。
どんな顔をしているんだろう。泣いているのかな?笑っているのかな。嬉しそうにしているのかな。……それとも、一抹の不安が僕の頭をよぎり......「顔を上げて、裕也君」......そして、ぎゅっといつの間にか抱きしめられていた。
不安が一気にはじけ飛ぶ。
「私も、大好きです。いっしょう、はなさな、ぃから」
そう優しく微笑んだ顔からは大粒の涙がぽろぽろ流れ出て、僕もつられて泣きそうになるけれど、僕は先輩をぎゅっと強く離さないように、抱きしめ返す。
「僕もです。逃げないでくださいね?」
「あたりまえだよ、ゆう君」
そうして、潤んだ瞳と僕の瞳が逢い唇にそっと、自分の唇を重ねる。
「んっ.....」
そっと、重ねるだけのキス。先輩から吐息が洩れる。
「ゆ......うく、ん」
「れい、か」
先輩のさらさらの髪から甘い匂いがする。先輩のとろけた目に吸い込まれてしまう。先輩に包みこまれてしまう。
「麗華、家に帰ろ?」
「うん。お願い」
先輩が僕の手を握る。
僕はそれを一旦ほどいて、指を絡める。
最初、先輩が踏み出して、それにつられる形で僕がついて行き、そして、僕が追いつき、二人で並んで家に帰る。
「ゆうく......ん」
「れいか…」
僕の部屋のドアを閉め、ドアを背にして、我慢できずにキスをしてしまう。
「ずっと、ずっと、こうしたかった」
「待たせて、ごめん」
「うんうん、大丈夫。好きだから」
.................
………
…
-------------------------------------------------------------------------------
皆さん、こんばんは、kanikuiです。
35万pv本当にありがとうございます。皆様あってこそです。本当に感謝しています。
「先輩に振られたから」ももうあと残り僅かです。(afterはちょこちょこ書きますが)
そして、今日「義理の姉妹がデレテから、デレルまで」を投稿しました。
物騒なウイルスのせいで、暇な人ぜひ読んでください。少しでも和んでくれたら本望です。勿論、先輩に振られたからもよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます