第76話

まさか.............。


「裕也.............」

「だよな」


多分、麗華先輩じゃないだろうか。


「裕也、今じゃないのか?」

「.............」


そうなんだと思う。今から追いかけていうべきだ。......。


「うじうじしてないで、さっさと行け。お前がしっかり思いを伝えれば受け止めてくれるはずだから」


結局僕は、意気地無しなだけだ。一度の失恋で心が折れて、あれこれ理屈をこねまわしているけれど、最終的には僕が決めることで。言うタイミングなんていくらでもあったはずで。


僕は拳をぎゅっと握りしめた。


「…そうだよな。よっし。夏樹、一発頬を叩け」

「…嫌だよ。ドMなのか」

「......そこは頬を叩いて活を入れるところじゃないの?」

「考え方が古い。良いから、さっさと行け。この意気地なし」


そう言って、わざと茶化して緊張を緩めて背中を押してくれる。


「今度、ダブルデートしような」


僕は不敵に笑ってこう返す。


「嫌だよ。麗華と二人きりが良いから」


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これで、大丈夫だよね。


私は手鏡をみて、一度にっこり笑う。


どうしよう.............にやけてしまう。口がへにゃへにゃになってしまってだらしない顔をしている。


うっすらと涙の痕も残っているし......。もぉーゆう君が全部悪い。


それに、裕也君より先に帰らないといけないし......。もしかしたら、聞いていたのばれちゃったかもしれない......。


あぁ、もう。私のばか。どうしよう。


ゆう君の顔も今日はまともに見れないよぉ。


とりあえず学校を出ないと......。そうして、私は屋上を出た。



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僕は麗華先輩の後を追ったけど、麗華先輩が速くて見失ってしまった。


先輩の下駄箱を見て、まだ学校にいることは分かっている。なら......


僕は、昇降口を出て待つことにした。風がそっと僕の背中を押した。



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どうしよう。これからの事を考えながら、歩く。


ばれちゃったかな?勝手に聞いて怒ってないかな。


外に出て、早めに家に帰らないと思って私は、走った。


そして、校門が見える。


「あの、麗華先輩」


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「―は、はい」


先輩の頬は赤くなっていて、頬にはうっすらと涙痕があった。


この状況、最初にあった時と状況が逆だけれど......僕は今......あなたの事が大好きだ。

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