第75話
「夏樹、聞きたいことがあるんだ」
「なんだ、そんな深刻そうな顔をして」
対面に座る夏樹を見る。ホームルームが終わり、もう冬だからか教室に夕陽が差し込む。
「お前、夕夏先輩にどんな感じに告白したんだ?」
「..........は?」
今僕は教室に残って現在彼女がいる目の前のイケメンの話を参考にしたいと思って、今日は先輩に用があると言って、先に帰ってもらった。
「参考にしたいんだ」
「……参考になるか?俺の話なんか聞いて」
「なる」
「はぁ..........。と言っても普通だぞ?好きです。付き合って下さいって言っただけ」
「どんなふうに?」
「今どきはLIMEとかあるけど、俺はデート中に直接言ったな。夕夏の手を握って目を見て好きですって」
「.....なるほど」
..........
.....
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「麗華先輩、今日は僕用事があるので先僕の家で待っててもらえますか?」
「ん?日直とか?委員会?」
「いや、そういうわけではないんですけど......」
こっちに目を向けてくれない、ゆー君。......何か隠してるな。
ゆ~君のちょっとした仕草で分かる。あ、なんか隠したとか、嘘ついたなとか。
普段は優しい嘘しかつかないんだけどね。ゆ~君かっこいいから。例えば......っと危ない。またトリップしちゃうところだった。
何隠してるんだろう?
「ちょっと、やることがあって......」
「…分かった。待ってるね」
「はい」
それから、午後の授業が終わり放課後、私は悪いと思いながらも心配で学校に残る。
あの件で先生に呼び出されているのかな?でも、そしたら私も呼ばれるだろうし。
やっぱり......誰かから告白されるのだろうか。……分かってる、分かってるけどぉ......。
ゆ~君は外に出ていないから、多分まだ校舎だと思う。教室かな?
私はそーっとゆう君の教室に近づく。中には夏樹君とゆーくんがいた。
よかったぁ。……それにしてもなんで夏樹君と話すことを私に言わなかったんだろう。
「それじゃあ、一回練習してみれば?」
「練習?」
「とりあえず言葉に出してみるところから」
「はぁ……分かった。やってみる」
何するんだろう?あぁ、ゆうくんのちょっと照れた顔も可愛いぃ。
ゆー君は深呼吸をして、覚悟を決める。あぁもう!あの顔、かっこよすぎるよぉ。
「麗華先輩、僕と付き合ってください!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
っ...........!!!!。私はそこから、何故か走り出していた。
走る、走る。走る。
そして、屋上の扉を勢いよく開け、そっと閉める。そのままドアに背を向けたまま、ずるずるとその場に座り込んだ。
心臓がものすごい勢いで鼓動している。はぁ、はぁ、はぁ。これは多分走ってきたせいではない。
「ゆーくん。ゆぅーくん。ゆぅー君、ゆぅーくん」
頬が自分でも分かるくらい熱い。そして下を見ると、涙でいつの間にか滲んでいた
「こんなにうれしい気持ち、初めてだよ」
こんな顔見せられないよ。だって顔がくしゃくしゃになっちゃうほど、うれしくて泣いてしまうんだもの。
それから、三十分くらい経っただろうか。鏡で自分の顔を確認すると、涙の跡がうっすら残っていた。
「........でも、直接告白されたわけじゃないんだよね」
だけど、こんなに泣いてしまった。それだけ、嬉しくて、それだけ裕也君が大好きなんだなと自分でも改めて理解する。
早く告白されたい。いや、もういっそ私からもう一度言ってしまおうか。
........むぅ、でもやっぱり直接告白されたいな。あぁ、すごく焦れったい。
「あぁ、もう!ゆー君のばか!!でも大好き」
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「麗華先輩好きです、付き合ってください」
僕は仮想の麗華先輩に精一杯声を出して、思いを伝えるように言う。
すると、廊下の方から物音がして、一気に足音が遠のいていく。
...........まさか
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