第73話

『次に私が襲っちゃう前に、告白してね、もう待てないよ♪』


か...........。


昨日からその言葉が頭をぐるぐる回る。朝起きて、いつも通り麗華先輩と一緒に登校して、授業中もなんだか落ち着かない。


そして、何も思いつかず午前中の授業が終わってしまった。


どう告白すればいいんだろう.......。と言うかいつ告白すればいいんだろう。


もうお互い好きなことは分かっているんだし、昨日、あの時告白しても良かったんじゃないだろうか。


とりあえずあれだ、困った時は、いつ、どこで、どんな風に告白すればいいのか考えればいいと思う。


いつ


もうそんなに期限なさそうと言うか、早く付き合いたい。


...........なら、なんで言えないんだろう。...........。


もしかして、僕、意外とロマンチストなのだろうか。


...........。違うな。多分、今まで麗華先輩の事拒んできたから、今になってそれが何か妙なストッパーを僕にかけているんだと思う。


なんてことだ...........。


まぁ、それは一旦おいて置いて、次は何処でだ。


屋上?海辺?それとも駅前?通学路?僕の家?


...........やっぱり僕はロマンチストなのかもしれない。


次はどんな風にだ。先輩の目はしっかり見て、好きって言いたいな。


まとめると、近いうちに、どこかで、しっかり目を見て、好きっていう。付き合ってくださいって言う。


こんな感じか。


なんだか、難しいな。


「好きです付き合ってください」


って言うだけで、こんなに悩むなんて。


「は!?え、大峰君!?」

「ど、どうしたんだ。裕也、急に」

「は?え、な、なに?」


え?な、なに?どうしたの。目の前にいる、夏樹と、えっと......咲さん?が驚いた顔をする。


「い、今私に好きです。付き合ってくださいって言った?」

「は?え?」

「だ、だから、私にその……好きって言った?」


ん?...........もしかして、口に出ていたのだろうか。


「あ、えっと、違います。その……いろいろ考え事をしていてぽろっと出ちゃったんだと思います。ごめんなさい」

「そ、そっか。そうだよね。あはは」


恥ずかしそうに頬を触る咲さん。……なんか、悪い事しちゃったな。


「裕也君!お昼一緒に食べよ♪」


教室のドアを開けて、麗華先輩が嬉しそうにこっちに来る。


「裕也、お前、決心がついたんだな」

「...........まあね」


夏樹がやっとか、みたいな顔でこっちを見てくる。


そして、麗華先輩の後ろから、夕夏先輩も来る。


「夕夏、どうしたんだ?」

「一緒に食べよ?」

「お、おう」

「私はお邪魔だね」


と言って、咲さんが別の女子グループのところへ行く。


「いいなぁ、夕夏。私も麗華って呼ばれたいなぁ。あと、ゆー君って呼びたいなぁ」


ちらちら。先輩がこっちを見てくる。


「あ~呼ばれたらうれしくて泣いちゃうかもなぁ~」

「泣いてほしくないので、言いません」

「もー裕也君!うれし泣きだから、泣いてもいいんだよぅ」


麗華先輩が頬を膨らませる。あ、それよりお昼食べなきゃ。


僕は、麗華の手を取る。


「ほら、そんなに可愛い顔してないで、いこ?麗華」

「っ.....//もう、もう!!ゆー君好き、大好き!」


僕も好きです。


い、今だったんじゃないか。言うタイミング!!はぁ…何やってるんだよ心の中で呟いたって聞こえるはずないのに…。


そしていつの間にか麗華に抱き着かれて、歩けなくなっている。


「麗華、抱き着いたままじゃ歩けないよ」

「っ…。そこに座ってゆう君」


僕は言われたままに椅子に座る。


「このまま食べよ?」


その上に麗華が跨る。


「ストップ。麗華ここ教室だから。」


人差し指で麗華の口にそっと触れる。.....踏み込みすぎたかな?


「「「キャーー!!」」」


周りがうるさい。特に女子。


「う、うん」


頬を赤くしてもじもじしてうつむいてしまう。


「もう付き合えよ、バカップル」

「うるさいぞ夏樹」


分かってるよ、そんな事。












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