第71話

最近、麗華先輩の様子がおかしい。


「あの、麗華先輩」

「へ?あ、うん。何?裕也君」

「なんか最近様子可笑しくないですか?」

「そ、そんな事ないよ」


手をブンブン振って否定している。その頬はなぜか赤い。


もう十月の終わり、地球温暖化が進んだといえ夕方になると、少し肌寒い季節となった。


文化祭騒動は、無事に解決された。男の方は、他にもいろいろしていたみたいで、退学処分。もう少しで卒業だったのに、ざまぁない。あのクソ女は今まで直接手は下して、いないため停学処分となっていたが、あの女はプライドが高いため、停学明けには学校に当然来れないだろう。あいつは自主退学したと、先生から報告された。


そして、僕たちはここ数日、ゆっくりなんの心配ごともなく生活しているけど........麗華先輩の様子がおかしいのだ。


例えば数日前の帰り。


いつもは手を強引にでもつなごうとするはずなのに、偶然手が触れただけで、びくっと反応するし。


今日の朝だってそうだ。僕は、ただ感謝を伝えたいだけなんだけど........。


「いつも、朝ご飯ありがとうございます。僕、麗華先輩がいないと生活出来ないくらい、だめになっちゃいそうです」

「え!?あ、うん。あ、ありがと。その……とっても嬉しい」


いつもの先輩なら「ありがと、裕也君!」と言って抱きしめてくるはずなのに、うつむきがちに、頬を染めてはにかんで笑った。とっても可愛かったな........じゃなくて。


その他にもいろいろあるが、本当にどうしたんだろう。


もしかして........ほかに好きな人が........いや、な........ぃ。急に不安に駆られる。


「あ、あの!麗華先輩。えっと、あの!」

「ひゃあ!う、うん。何かな。ゆ、裕也君」

「その........今日も家に寄っていきますか?」


言いたいことがすっと言えずに違う言葉が口から出てしまう。はぁ、僕ってやつは。


「え?あ、裕也君が嫌じゃなければ」

「全然嫌じゃないですから!」

「うん........」


そうして、家についていつも通り夕食を作って二人で食べ終え、ついに言うときがきた。


頬をぱちんと叩き、気合を入れる。


「あの........麗華先輩」



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「その……今日も家に寄っていきますか?」


それって…、ちょ、ちょっと待って心の準備が........


「え?あ、裕也君が嫌じゃなければ」


反射的に口に出てしまう。もぅ、私のばか!まだ準備できてないのに。


最近、裕也君をまともに見れない。キスをされたあの日から。


家に帰ってよくよく考えたら、キスしてくれたってことが幻でも何でもなければ、裕也君が私の事好きで、私たち両想いってことで........。何となくそうかなって思っていたけど、行動に移してくれたからそれはもう私の事好きってことだと思うし。


もう、そこからは妄想のオンパレードだった。


裕也君の言ってくれた言葉がうれしすぎて頬が紅潮して、まともに見れないし、抱き着きたくても、抱きついてしまったら私は我慢できなくなってしまうから。


「付き合ってください」って言われたら、私はどうなってしまうのだろう。


そんな事を考えているうち家に着き、裕也君が作ってくれたおいしいご飯を食べ、そして......


「あの……先輩」

「う、うん」


ふぅー、よし、うん!


「あの、先輩。その……ほかに好きな人できたんですか」

「...............え?」


え?









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