第60話
「じゃあ、頑張っていこー」
「「「おー」」」
開会式やらなんやらが終わり、みんな、文化祭が始まることに、そわそわ、わくわくいろんな気持ちで臨んでいる。
「裕也も頑張ろうぜ」
「ああ、夏樹もな」
「おう、ってやっぱりこの服動きづらいな」
「まぁ、それはしょうがないな」
軽いハイタッチをして、僕も気合いを入れる。
さて、頑張りますか。
「あ、そっちのテーブル大峰君よろしく」
「分かった」
「夏樹は喋ってないで仕事する!」
「うーっす」
「なつきぃ、お前は本当に仕事をしろ。さっきからお客と喋りすぎ」
「うっす」
ほんとに仕事しろよ、あいつ。
「え、っとあの」
「はい。ご注文ですか?」
「えっと、はい。おすすめってどれですか」
「おすすめって書いてあ.....もごぐが」
ん?メニューに書いてあると思うんだけど。なんか、すごい勢いでもう一人の子の口が閉じられたし。
「こちらのパンケーキと紅茶、アイスのセットがおすすめとなっております」
「じゃあ、それで。いいよね」
「うん。まさか.....」
「畏まりました」
「それで、そのぉー」
「?追加ですか?」
「休憩っていつ入りますか?」
「?。十二時くらいには休めますけど」
ん?なんで僕の休憩時間なんか知りたいんだろう?あれか、まさか。休憩終わったら裏に連れていかれて屈強な男の人たちにカツアゲでもされるんだろうか。
やっぱり、女子って怖い。
「じゃあ、その.....文化祭。一緒に回りませんか?」
「え?あ」
僕と一緒に?.....それって、もしかして僕の事……。
そんな訳ないか。だって僕だぞ。それに、僕には麗華先輩が……。
だから.....
「ごめんなさい。用事があるので」
「っ。そうですか。ごめんなさい。あはは」
「でも、そのうれしかったです」
「っ……」
「おい、裕也。お前もさっさと仕事しろ。あと……」
夏樹が指をさした先には.....すっごいむくれている麗華先輩がいた。ちょっと涙目で。
「ごめん、夏樹。注文頼む」
「お、おう」
僕が近づくにつれてむくれ度がアップしているのは気のせいかな?
「あの?麗華先輩?」
「ふぅーん。裕也君ああいう子が好きなんだ」
「違いますから、泣きそうな顔しないでください」
「じゃあ、裕也君。そのぉ写真撮ってもいい?」
「いいですけど、勝手にインストグラムとかに上げないでくださいね」
絶対最初からその気だったような気がする。
「あと、私には特別に接客して、ね?」
「はい。畏まりました。じゃあ、こちらに」
「うん」
僕は先輩手をそっとひきテーブルまで連れて行く。
「裕也君のおすすめってどれ?」
「お客様はイチゴが好きなのでショートケーキなどいかがでしょうか」
「じゃあ、それと紅茶で」
「はい。かしこま.....」
「あと、裕也君つきで」
麗華先輩がふふっと楽し気に笑う。
「…分かりました」
「うん♪」
ふぅ。麗華先輩は少し機嫌がよくなったかな?
「大峰君もしっかり働いてね?」
「すいません」
どすのきいた声で委員長さんに言われてながら、お店は楽しく順調に進んでいった。
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