第56話

「えー再来週から文化祭が始まるわけだが……」


ロングホームルーム。先生が教壇に立ち何やら文化祭の話をしている。

文化祭と聞いて、少し教室がうるさくなり始め、何をするだの、何がしたいだのいろいろ話し合いが始まった。


「そこで、空を眺めて関係なさそうにしている裕也。お前もやるんだぞ」


いつの間にか、先生はいなくなっており目の前には席を借りたのか夏樹が座っていた。


「分かっているけど、お店の店番か演劇やるなら後ろの木の役ぐらいしか僕にはやることがないと思ってさ」

「なんでそうお前は学校行事にそんなに卑屈なんだ」

「いい思い出があんまりないからじゃない?」

「なんか……ごめん」


しょうがないじゃないか!だって僕あんまり目立たないし、裏方に回って雑用していた方が身の丈に合っているというか。


まぁ、でも.....今年は楽しくなりそうな気がする。


麗華先輩と一緒なら。


「どうした?裕也。気持ち悪い顔して」

「夏樹はもうちょっとオブラートに包む努力をした方がいいと思う」

「褒めるな、褒めるな」

「褒めてないから」


そんな適当な会話をしていると、クラスの中心の女子に何やら動きがあった。


「あ、私喫茶店やりたいかも」

「へーいいじゃん」

「なんか、定番って感じがするしね。一回やってみたかったんだー」

「うんうん」「分かる分かる」

「みんなもどうかな?」


人懐っこい笑みを浮かべながら、提案する。こういうのって、クラスの中心の人たちが決めないと進まないからなぁ。


「俺は、全然いいよー」

「私もいいですよ」

「僕もそれで大丈夫です」

「あとは.....そこの二人」

「あぁ。俺は大丈夫だし。裕也もおっけーだってよ」


勝手に答えられたけど、まぁいっか。そうして順当に決まって行ったわけだが。


「なぁ、夏樹。僕は裏方。料理でもしていたいんだけど」

「まぁ、そういうなって」

「私は、大峰君が接客してくれた方が助かるというか、役得というか」

「はぁ?」


でも、まぁ拒否権はあるから断るんだけどさ。


……麗華先輩は僕が接客したら喜ぶだろうか。


想像してみる……


……



『裕也君が私のためだけに接客してくれるの!?うれしすぎるよぉ』


そう言ってくしゃっと笑顔を咲かせる麗華先輩。



……うーん。でも、でもあくまで想像だし、仮定だから。


でも.....、少しでも喜んでくれるなら


「じゃあ、分かりました。やります」

「え?いいの?」

「はい」


「なんだぁ?急にやる気を出して?」

「ずっと裏で料理をしていたら腱鞘炎になるかもしれないからな」

「ふーん」

「……」

「いってぇ」


僕は少しうざい夏樹を軽く殴り、あとは委員長たちに任せて事の流れを見守った。



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私情ですが15万pv行きました。これも皆様のおかげです。感謝です。感激です。


そして、なんだかんだで、初めて麗華先輩がいない回でしたね。

誤字脱字が多いこの不肖kanikui頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします。






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