第55話
「んんー。」
「麗華先輩、起きてください。朝ですよ」
僕のベッドで、むにゃむにゃ言っている先輩を起こす。
昨日は、先輩の要望で僕の家に泊まることになり…………
『裕也君。今日は一緒に寝よ?』
『先輩、僕にできる範囲でって言いましたよ』
『早く、早く♪』
そのまま、先輩に手を引かれてベッドに行き僕を逃がさないとばかりに抱き着いてきた。
簡単にほどけるけど.....。
はぁ、僕が我慢すればいいか。……できるかな?
まぁ、そんなわけで僕は眠れず先輩の顔を見ながら一晩を過ごしたわけだけど、結構危なかった。
「早く起きてください」
「んー。えへへ」
先輩がなぜだか、笑みを浮かべて笑っている。そんなに楽しい夢なのかな?起こさない方がいいかな?昨日も寝ている間、時折だらしなく笑っていたし。
でも.....
「あぁーあ。先輩と一緒に早くデートにいきたいのになぁ」
「デート!」
先輩はガバっと効果音が付きそうなくらい、勢いよく起きる。
現金な人だな。……かわいいけど。
「デート、デート♪」
麗華先輩は変な歌を口ずさみながら部屋を出るのに続いて、僕も出る。
「麗華先輩、パンは何枚食べます?」
「うーんとね。2枚それに裕也君付きで!」
「2枚ですね」
「むぅー」
僕は適当に朝ごはんを準備し、テーブルまで運び食べ始める。
「あ、裕也君。それでデートって?」
「球技大会の僕のご褒美に先輩とデートしたいなって」
「んー!んー!!」
先輩が何か言っているけど、トーストが口に入っているためもごもご言っていて何を言っているのか分からない。
「はいはい。この話はご飯食べ終わってからにしましょう。ね?」
興奮した先輩を落ち着かせるため一旦時間を置く。
ご飯が食べ終わり、先輩が僕の隣に来て、肩にもたれかかる
「もぅ、裕也君!朝から刺激が強いよ。私も裕也君と一緒にデートしたいな。でも.....それだと私のご褒美にになってない?昨日もたくさんもらったのに」
「いいんですよ。僕がしたいことですから」
「っ…。あぁ。もぅだめ」
先輩がだらしなく顔を緩める。
「昨日から、裕也君への思いが溢れちゃって、止まらないよぅ。大好きなの。裕也君.....」
先輩が僕に跨り、胸に頬をすりすりしてくる。
なんだろう少し猫っぽい。そしておもむろに僕の頬にそっと触れる程度のキスをする。
「ちょ、先輩」
「まうすとぅーまうすじゃないからセーフだもん。えへへ」
「そういう問題じゃなくてですね」
「…♪」
全く聞いていない。昨日からずっとこうだ。前まで甘えていたのをさらに強化した感じで甘えてくる。
僕の理性とかもろもろ危ないからやめてほしいんだけどなぁ。
それから、先輩が落ち着つまで時間がかかり、本来の目的のデートはなんだかんだで次の日になってしまった。
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