第44話

家に帰ってから数日たち、明日は学校登校日である九月一日....だけど


「裕也君、今日泊ってもいい?」

「流石に、今日は止めておいた方がいいんじゃないですか」


麗華先輩がすごい家に泊まりたがっている。


....僕としてはうれしいんだけど、流石に登校初日から一緒の家から登校したりしたら、なんというか気持ち的に....その恥ずかしいというかなんというか....うん、そういう事。


それに、僕もやることあるし。


「麗華先輩、課題考査が終ったらいつでも泊まっていいですから」

「....ほんとに?」

「はい。でも続けて一週間とかは駄目ですけど」

「うん!約束」

「はい。..あと、また明日」

「はい♪また明日」


先輩はスキップして、家を出て行ったが閉まるドアの隙間からくるっと振り返りニコニコした顔で手を振ってくる姿が見えて、自然と頬が緩んでくるんだからどうしようもない。


「よしっ。明日の準備しますか」




ピピっと無機質な機械音が聞こえて僕は目を覚ます。


そっか、今日は麗華先輩は来ないんだっけ。ここ最近、というかここ数ヶ月麗華先輩が朝起こしてくれていたから、ある意味新鮮な感じがする。


まぁ僕が麗華先輩を迎えに行くから、先輩が来ていないだけだけど。


昨日その旨を伝えたら


「私が作った朝ごはん不味かった?それとも起こされるのが嫌だったの?」


とか的外れな事を言っていたから、少し笑ってしまって余計に心配されたけど、僕が迎えに行きたいだけと伝えたら少し不安が収まったが、やっぱり心配なようで泊るって言いだしたんだと思う。


麗華先輩に心配させたくないし、早く用意するか


僕は顔を洗い、朝ごはんをせっせと作って食べる。


あとは..父さんに教えてもらった髪型をセットする。

実家にいたとき教えてもらって、練習していたからかなり手際よくでき、父さんがやってくれた時と遜色なくできていると思う。

後は見出し並みを整えて....。


「よしっ。できた」


練習したとおりにできるか不安だったため早めにアラームをセットしたが杞憂に終わり、かなり時間が余ってしまった。


....早めに出て損はないよな


僕は家を出て、足早に麗華先輩の家に向かう。

思ったより早く髪型のセットが終わったので別に急ぐどころかかなり時間があるけどなんだか勝手に足が動く。


はぁ....浮かれているなー。僕。


そうして、麗華先輩の家の前まで来たが人影が見える。

あれは....麗華先輩。


「おはようございます。麗華先輩」

「あ、おは....よう。裕也君」

「すいません。早く来ちゃって」

「それはとっても嬉しいし、私もは早く待っていたけど....」

「やっぱり、変でした?」

「全然変じゃない!かっこいいよ!」

「あ、ありがとうございます」


先輩がすごい勢いで迫ってくるから、びっくりしたが喜んでもらえたなら良かった。


「どうしよう。裕也君がかっこいいのと、私が釣り合っているのかとか他の人に見せたくないとか....うぅー。裕也君、少し待ってて」

「あ、はい分かりました」


そう言って、麗華先輩が家に戻ってしまう。

女の子も大変なんだな。


それと、「麗華先輩は十分可愛いというかきれいですけど」


と無意識のうちに口走ってしまう。誰もいないのに。


....今僕、すごい自然に言ったけどなんだろう、聞かれたらナンパっぽいし、すごい恥ずかしい事言っている気がする。


そう意識したら、急に顔が熱くなりパタパタと手で仰ぐが地球温暖化が進み九月に入っても暑いせいなのか、はたまた、僕のせいなのか、麗華先輩が帰ってきてからも顔が赤くなっていて、


「大丈夫?熱でもある?それとも私が変なのかな!?」


とか色々あり、結局いつもより少し遅い時間の登校となってしまった。













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