第37話

「あの、麗華先輩」

「なぁーに」

「だ、ダメです」

「私はいつでもいいよ」

「僕がダメなんです」

「えぇー」

「一緒に寝るなんて僕がダメなんです」

「私はいつでも一緒に寝たいんだけどなー」


今は、夕飯を食べ、風呂に入って今日は色々あって疲れていたから早めに寝ようと、布団に潜ったら、風呂上がりの麗華先輩が僕のベ布団で一緒に寝たいと言い出した


「少しだけ、裕也君が寝たら自分のところに戻るから」

「それ絶対、戻りませんよね?」

「…えへへ」

「はぁ…少ししたら戻ってくださいね?」

「うん」


そういって麗華先輩は僕の布団にもぐってくる。


「ねぇ、裕也君」

「なんですか」

「ぎゅってしてほしいな」

「......どうしたんですか」

「......笑わない?」

「はい。笑いません」

「初めて母親、っていうかお義母さんに抱きしめてもらったから。私、そういう事してもらっていなかったから、うれしくて。だからぎゅーって抱きしめてもらうことが好きになっちゃたみたい」

「そうですか」


僕はそっと抱きしめる。


「っふふ。......えへへ」

「五分だけです」

「うん。裕也君…」

「なんですか?」

「大好きです」

「し、知りません」

「だいすきだよぉ」

「…知りません」


麗華先輩はそういって僕より強く抱きしめる。


そういえば麗華先輩のことというか、事情みたいなことを知れた。


誕生日とか、何が好きとか表面的な事は知ったけど、どういった家庭とか込み入った話は知らなかった。


母さんか.....


.....喜んでくれるかな?


僕はそっと麗華先輩に手を伸ばし.....


「裕也君.....それ、いい」

「よかったです」


僕は麗華先輩を抱きしめ、片方の手で頭を撫でる。


僕が子供のころ、姉さんや母さんにしてもらってたからしてみたのだが、麗華先輩が喜んでくれてよかった。


「もう、裕也君無しじゃ寝られなくなっちゃう」

「それはよくないので、やめますね」

「いやぁー」

「はいはい」

「…もぅ。裕也君のいじわる」


そういって麗華先輩は僕の胸に顔をうずめて嬉しそうな顔をしている


それから、五分経って.....


麗華先輩は安心したような顔をして寝てしまった。

起こすべきかな?


でも、こんな気持ちがよさそうな顔をされたらおこせないし.....。


僕がベッドで寝るか。


そうして麗華先輩からそっと離れ、ベッドに潜るとすぐに疲れのせいか眠ってしまった。




ん、んー。んぁー。


僕は少し重い瞼を開け、目を覚ます。


すると.....


気持ちよさそうに寝ている麗華先輩がいた。


..........。なんで?


昨日、確かに別々に寝たはずなんだけど。


もう朝だし、起こして問い詰めてもいいよね


「麗華先輩、麗華先輩」

「ん、んー」

「麗華先輩」

「ん。ー.......おはよう。裕也君」

「おはようございます。麗華先輩。それでなんで麗華先輩がここで寝ているんですか」

「だって、起きたら裕也君がいなくてなんか.......寂しかったから」

「..........」

「あと、純粋に一緒に寝たかったから」

「…そですか」

「うん」


先輩は寝起きだからか、優しい笑みを浮かべて


「裕也君のそういうところ、私は大好き」

「?そういうところって?」


なんだろ?


.......まぁいっか。悪く思われている訳じゃないし。


「そろそろ、ご飯だと思うので起きましょう?」

「あと、ちょっとだけ一緒にいて?」

「.......ほんとに少しだけですよ」

「うん。.......そういうところだよ」

「?そうですか」


麗華先輩は僕を抱きしめ嬉しそうに笑った。



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唐突ですが宣伝です。見たくない人は飛ばしてください。


新作「生徒会に入ったけど」を出しました。見てくれると嬉しいです。


いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします




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