第29話
「突然ですが、裕也君明日私と…」
「嫌です」
「早いですよ!?というかまだ何も言ってません」
大抵こういう時大体嫌なというか麗華先輩は変な事を言い出すから。
あと大体今回は予想が付くし。
「いいから聞いてください!私と一緒に…」
「プールに行きましょう、とかは止めてくださいね?」
「なんで分かるんですか!?」
って言われても、この前水着買いに行ったし。それに明日って....。
「うー。裕也君は私のこと嫌いなんですか…?」
この前嫌いじゃないって言ったし、現状麗華先輩の事は......そう、友達だと思っているし。
でも
「強引な麗華先輩は嫌いです」
「ご、ごめんなさい。そうだよね。こんな厚かましい女の子嫌いだよね」
先輩が目に見えて落ち込んでる。麗華先輩の周りから暗いオーラが出ているみたいに見える。
『嫌い』とか少し言い過ぎたかな?
うーん。あ!
僕は麗華先輩の頭をそっと撫で
「突然じゃなければ、僕はその…大丈夫なんですけど。いきなり言われると僕たちは男女なんで、僕は意識しちゃったり緊張やらいろいろしちゃうんです」
「......うん」
「ですから前もって言ってくれると嬉しいです」
「....次からそうします」
最初は反省した顔をしていた麗華先輩だが段々顔がとろけてきて目がとろんってしている。
....もう少しこのまましてあげようかな?
それにしても
「麗華先輩、頭撫でられるの好きですね」
「これはね、裕也君に撫でられているからなの。心が落ち着くというか裕也君の優しさを感じるの。だから....大好き」
「っ。そ、そうですか」
....だからそういう事を軽々しく言わないでください。
それから十分ほどだろうか、ほとんど会話はなかったけどゆったりと時間は過ぎリラックスできた。
「それで、いつ行くんですか?」
「え?裕也君行ってくれるの?」
「はい。その....買った水着が無駄になっちゃいますし」
「ありがと。じゃあ....月曜とかはどうかな?」
「分かりました。でも次からは明日とか言わずに準備をさせてください」
「うん!」
あと一つ僕から訂正しないと。
「麗華先輩、あとさっき強引な麗華先輩は嫌いって言いましたけど、あれちょっと訂正です」
「え?」
「僕が麗華先輩の事を嫌っていたけどそれでも僕に接してくれた強引さはその......好きです」
こうして麗華先輩と…友達になれたし。
「う、うん」
「ごめんなさい。ちょっと分かりにくいですね」
先輩は首を横に振り
「ちゃんと伝わったよ。......えへへ」
「…そうですか、良かったです」
「うん!ふふ。…えへへ」
麗華先輩はそういって僕の胸に顔をうずめてくる。
はぁ......。もう少しこのままにしてあげようかな?
ほんと麗華先輩に甘くなったよな僕......。
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