第27話

「で、麗華先輩。今日は何処に行くんですか?」

「それは着いてからのお楽しみ」


そういって麗華先輩は指を絡めてくる。


不安だなぁ。今日は麗華先輩のいう事聞くって決めたから『結婚する』っていうこととか以外はできるだけ聞いてあげたいしなぁ。


そうして、電車を降り、少し歩き最初に麗華先輩と最初に買い物に来たショッピングモールに来ていた。


あれから大体二か月くらいか。


時間って結構経つの早いなー。


「裕也君どうしたの?」


少し前のことを思い出し歩くのが遅くなっていたからか、麗華先輩がこっちを覗きこんでくる。


「いや、最初に麗華先輩と買い物に来たところだったなぁって思って」

「あ、そういえばそうだね。裕也君そんな事覚えててくれたんだー」


そういって麗華先輩は絡めていた手を少し強めに握り、嬉しそうに笑う。


「たまたまです」

「そうだね。たまたまだね!」


麗華先輩はそうして絡めていた手を離したかと思えば腕に抱き着いてきた。


「.....はぁ。で目的地は何処ですか?」

「もう着くよ。あ、ほらあそこ」

「......どこですか。眼鏡屋のことですか」


僕は麗華先輩が水着を売っている場所をさしているが、違うと思うので真逆の眼鏡屋の方を向く。


「もぅ。違いますよ。こっちです」


無理やり顔を指をさしている場所に向けさせられる。


「今日は裕也君に水着を選んでもらいたいなぁーって」

「........分かりました」

「え?良いの?」

「なんで先輩が驚くんですか。」

「裕也君なら少し嫌がった後、渋々承諾してくれると思っていたんですが」

「残念でしたね」

「ふふ、裕也君が素直になってくれました」

「元から素直です」

「男子と鏡花さんだけね」


麗華先輩は苦笑する。


........僕は麗華先輩にも割と素直だ思いますけど。


僕はあいつに振られてから女子と関わりを持たないように徹底している。


でも、麗華先輩は色々あったから別なのだ。


だから完全に素直になれてはいないけど麗華先輩にも割と素直だと思う。

…麗華先輩はそう思ってなさそうだけど。


そうして店内に入ったが、店内には割とカップルがいてこの水着はどうだとかいろいろ話している。


「ねえ、裕也君。私たちもカップルに見えてるのかな?」

「見えてないと思いますよ。麗華先輩と僕とではつり合いが取れていないですし。多分姉弟に見えているんじゃないですか」

「もぅ。裕也君、つり合いなんて関係ないよ。それこそ私が裕也君とつり合ってないかな?って毎日思うもん」

「.....麗華先輩お世辞が上手ですね」

「お世辞じゃないよ、裕也君はとってもかっこよくて優しくていい人だもん」

「.....そうですか」

「はい、そうです」


若干不満そうだった顔を辞めて微笑む。


少し照れくさいので早く水着を買ってしまいたい。


「それより早く選びましょう。でも、僕服のセンス無いんで選択制にしてくれるとありがたいです」

「分かった。じゃあいろいろ着てみるからちゃんと見て選んでね」

「はい」


そうして麗華先輩は水着を選びに行く。


そういえば、前もこんな事あったな。


確か服を選んだっけ。確か今日麗華先輩が着ているような服......。


.....はぁ。僕のダメなところってこういうところだよな。何で前ここに来たことは思い出したのに何で服のことは思い出せないんだ。


「裕也君、この水着とこの水着どっちがいいと思う…?どうしたの裕也君?」

「…何でもないです」


それから麗華先輩がいろんな水着を着て、結局セパレートタイプの黒色のビキニになった。


どの水着もかなり似合っていて言葉では表せないくらいだったけどシンプルな黒色のビキニが一番似合っていたと思う。



それから麗華先輩といろいろ店を周り、今は帰りの電車の中


「あの、麗華先輩」

「ん?どうしたの?」

「遅れましたけど、麗華先輩その服似合っていますね。前に僕と一緒に選んでくれた服ですよね?」

「.....もぅ。遅いよぉ」


そういってふにゃっと笑う


「ごめんなさい」

「でも、ちゃんと気付いてくれたから許します♪」


次があるかは分からないけど次はちゃんと気付いてあげないとな。

嬉しそうに肩に顔を預けている麗華先輩を見てそう思った。



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