第25話
「ふぁーおはようございます」
「んーおはよう」
「おはよう裕也君」
僕は眠い目を擦りながら、挨拶を済ませる。
先輩ほんとに来たんだ。
それに、朝ごはんの準備もしてくれてるし。
「麗華先輩、いつもありがとうございます」
「全然大丈夫だよ。裕也君のためだって思えば苦じゃないし」
「…そうですか」
「うん!」
「ねえ、ゆう。私も作ったんだよ」
「姉さんもありがと」
「うん。…あれ?撫でてくれないの?」
「まぁ、うん」
「えぇー」
「えー」
そんな不満そうな声上げられてもなぁ。
僕は最近日課になりかけていた、お礼を言って頭を撫でることをやめた。
姉さんにすると麗華先輩にもしなきゃいけなくなるし。
それに…なんか気恥ずかしいし。
「それより、作ってもらったご飯が冷めちゃいますから早く食べちゃいましょう」
「…なんか、はぐらかされた気がする」
「気のせいです」
せっせと準備をして朝ごはんを食べ始めたが、
「ねぇ、裕也君。明日一緒に出掛けてくれないかな?」
「え?まぁいいですけど」
確か明日は何もなかったはず。というか、予定なんて実家に帰るぐらいしかないんだけど。
「やった!」
「なんか買いたいものでもあるんですか?」
「うん!あ、ちなみに裕也君って泳ぐの好き?」
「え?人並みには好きですけど」
「そっかぁ。…ふふ」
「なんですか、その含み笑いは」
なんだろ。どうせまた変なこと考えてるんだろうけど。
買い物、泳ぎ…。うーん
分からん。
「秘密♪明日のお楽しみです」
「できる限り普通のことにしてくださいね」
「なんで私が変な事するみたいになってるの!?大丈夫だよ普通のこと」
そうだといいなぁ。
「じゃあ、明日の一時頃駅前で」
「はい、分かりました」
それから、姉さんと麗華先輩が談笑しているのを聞きながらご飯を食べ終え部屋に行き夏の課題を終わらせていく。
夏休みが始まってまだ一日。課題は半分終わっている。
僕は夏休みに入る前から課題をやってしまう側の人だ。
でも、前までは僕も夏休み最後に慌ててやる派の人間だったけど、去年の経験を得て早めにやっている。
…僕も成長したな。あいつの顔が頭をちらついたけど、怒りは湧いてこなくなっている。
これも麗華先輩のおか
「げぇ」
「勉強終わったの?」
いつの間にか部屋に入ってきていた麗華先輩が机にすわっている僕に抱きついてきた。
抱き着いたときに、ふわっと麗華先輩のいい匂いが僕の鼻腔をくすぐる。
いつも思うけど麗華先輩っていい匂いだよなぁ。
って、なんか僕変態みたいになってるな。それに麗華先輩のことを考えていたからか無駄に意識してしまう。
「大丈夫?顏少し赤いよ?」
「…大丈夫です。それより一旦離れてください」
「えー。もう少しこのままがいいな。だって裕也君構ってくれないんだもん。せっかく家に来たのに」
「昨日、特に何ありませんよって言いましたよ?」
「私は裕也君と一緒にいられるだけでいいって言ったから、一緒にいなきゃいけないね?…ふふ」
「はぁ…あと少しだけですよ」
「うん」
それから、ゆっくりと時間が過ぎていき、ご飯を食べたり、一緒に勉強したりして麗華先輩を見送っている。
いつの間にか麗華先輩が握っていた手を放す
「じゃあまた明日ね」
「はい、明日の一時駅前で」
「楽しみにしててね」
「はい」
そして先輩を見送り終え帰路につき明日のことについて思いを巡らせていた。
…あくまで友達として
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