第17話

「れ、麗華先輩」


「う、うん」


「あの、その........」


「…うん」


「その、僕と…」


「うん」


「期末テストの勝負をしてください」


「はい!よろこ....え?」


「ですから、僕と期末で勝負してください」


「…あー、うん。いいよ」


はぁ。僕から先輩にお願い事をするのが初めてだから無駄に緊張してしまった。


「はぁ。まだそんな訳ないよね。うん。だってまだ........。」

「えっと…あのー。麗華先輩?」


どうしちゃったんだろう。さっきからぶつぶつなんか言って。やはり迷惑だったのかな?でも負けたままだとなんか嫌だし。


「うんうん。何でもないよ」

「はぁ、そうですか」


ならいいんですが。


「そっかぁ。もうすぐ期末だもんね」

「はい。もうすぐ期末です」

「..あ、そうだ。それなら条件があるんだけど」


嫌な予感がする。


「......なんですか?本当に、ほんっとうに無理のない範囲でお願いします」

「そんなに念押ししなくても大丈夫だよ!?」

「…」

「なんで、信用のない目を向けるの~」


だって麗華先輩ですよ?いかんせん信じがたい。


「大丈夫だよ。そんなに無理なことじゃないから」

「…はい」

「それはねぇ、土曜日裕也君と一緒に勉強することです!」

「え?そんな事でいいんですか?」

「.....裕也君のエッチ」

「どういう思考回路しているんですか!?」


この先輩は時々、意味不明なことを言う。.....時々じゃないな。ここ最近頻繁にだ。

まぁそれは置いておくとして。


「まぁ、麗華先輩の頭の事情はいったんおいて置いて、僕の家でいいですか?」

「ちょっと、裕也君。私の頭がどうかしているみたいな言い方をしないでください」

「…で僕の家でいいですよね?」

「ゆうやくーん」


先輩が少し涙目だ。だが別にどうということはない。


「で、どうするんですか?」

「うわーん」


っと言って抱き着いてくる。


「.....って先輩。絶対に抱き着きたかっただけですよね?」

「…そんなことないよ?」


嘘だ。頬を触っているし何より頭が弱いと言われた程度で泣く先輩じゃない。


「嘘つく麗華先輩とはこれっきりですね」

「ごめんなさいー。だからそんなこと言わないでー」


あ、これはほんとっぽい。わざとらしくない。


って僕は何言っているんだ。なんだ?ほんとっぽいって。何様だよ。それに自意識過剰すぎる。これもウソ泣のはずだ。


「ねぇ。ゆうやくーん。っぐす」

「…はぁ。分かりましたから。離れてください。強く抱きしめすぎです」

「.....ほんと?」

「…まぁ」


はぁ。何がまぁ、だ。最近先輩に甘くなりすぎている気がする。


でも、甘くなっている=好きとはならないことが最近分かった。


だって、麗華先輩に特別感情を抱いた実感がないからだ。

クラスにいる女子とかよりは気兼ねなく話せる。そんな先輩と認識していると思う。


「もう、そんな事いわないでください。悲しすぎて、私…」

「はあ、分かりました。で・す・が過度なスキンシップはお控えください」

「うーん。えーっと。あはは」

「先輩?」

「善処します」


絶対しないやつだ。


「はぁ、じゃあ土曜日朝十時でいいですか?」

「うん!分かった」


さっきその返事が欲しかったです。




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