第12話
「裕也君♪」
「はぁ、なんでしょうか」
学校が終わった帰り、いつもの如く麗華先輩に捕まっていた。
「呼んでみただけです」
「はぁ」
「もぅ。少しデレてくれたと思ったのに」
「僕は麗華先輩にデレたことはありません」
「そうかなぁー」
先輩がニコニコしながらこっちを見てくる。
「それより、明日から中間テストですね」
「…そうですね」
高校に入って初めての定期テスト。正直不安でならなかった。
ここ最近学校から帰ったら、勉強しかしていない。
最初のテストで自分の実力を確かめたい。
「それで、私と勝負しませんか?」
「え?まぁいいですけど」
「勝負ですし、負けた方は勝った人の言うことを何でもきくってことでいいですよね?」
「限度はありますけどね」
「当り前じゃないですか。例え私が勝ったとしても、お婿さんになってもらうだけですから」
「限度を守って!?」
「えー。まぁ、流石に冗談ですけど。裕也君が望むなら、私はいつ彼女、お嫁さんになってもいいですよ」
「望みません」
「えー」
先輩が少しぷくぅーと頬を膨らませる。
「それで、総合で勝負するんですか?」
確か総合は八教科だった。
「うん」
「学年が違くて、難易度が違ったから勝負なしとか言わないでくださいね」
「わかってるよ。裕也君こそ言わないでね」
「分かりました」
それから、先輩を家に送り(先輩がうるうるしながら見てきたから)家に帰った。
ふぅ、やるか。
キーンコーンカーンコーン。テストが終わることを鐘が告げる。
ふぅ。テストの手ごたえはなかなかいい。
かなりとれたんじゃないだろうか。先輩にも勝てた気がする。
それから数日たち、全教科が返ってきた。
「裕也君テストどうだった?」
「麗華先輩に勝てた気がします」
「ふぅーん」
僕の結果は学年四位とかなり高いと思う。総合の点数は740点。
正直負ける気がしない。あぁ敗北を知りたい。
「先輩、じゃあ僕から、740点です。」
麗華先輩がうつむく。やった。麗華先輩に勝った。
っと思ったら、
「ふふ、ふふふ。裕也君残念でした。私の点数は746点でーす」
「えーーーー!?まじですか。」
「それじゃあ、私の勝ちですね。じゃあ私のお願い聞いてください」
「........ほんとに限度は守ってくださいね?」
「大丈夫ですよ。裕也君は私と毎日登下校してください」
「え?そんな事でいいんですか」
もっとひどいことを要求してくるかと思った。
「裕也君は過激なのをご所望しているんですか」
「ちがいますから、顔を赤らめながらくねくねしないでください」
ほんとにこの人は。
「明日の朝、裕也君の家に行きますから。一緒に行きましょ」
「僕が麗華先輩の家に行きますよ?」
「とっても嬉しいんですけど、私が裕也君の家に行きますから」
「ありがとうございます」
麗華先輩ってこういうとこ優しいよなぁ。
って、あーもうほんと僕って。
それから他愛もない話をしながら先輩を送り届け、家に帰り風呂に入って寝る。
明日まためんどくさいことが起きると知らずに。
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