第10話
少し長い休みが明けて、学校の登校日となった。
いつも通り、早く起き学校に向かう。
また、先輩校門の前にいるのかな?
あーダメダメ。疑うことを覚えたはずなんだけどなぁ。
先輩に自分の過去を話した日から先輩に甘くなっている気がする。
慰められて少し報われた気がしたからだろうか。
そもそも、僕は先輩を知ろうとしていなかった。
それが今は少し変わりつつある。
うーん。僕ってちょろいのかもしれない。
だから、
ふぅ。今日からまた気を引き締めていかなければ。
そんなことを考えながら歩いていくと校門が見えてきた。案の定先輩の姿が見える。
僕は黙って校門を通りすぎようとするが
「裕也君、おはよう」
先輩が行く手を阻んできた。
僕は無視して通り過ぎようとするが、また先輩がそれを邪魔する。
「おはよう」
先輩がにっこりした笑顔で返事を求める。でも僕はそれも無視して進もうとする
が先輩は顔をグイっと顔を近づけてもう一度
「おはよう。裕也君」
キスしてしまいそうな距離だ。先輩は意地でも僕の返事を聞きたいのだろう。流石にキスしてしまったらまずいので
「…おはようございます。先輩」
「はい!」
先輩は笑顔で答える。
「それじゃあ」
「待ってください」
僕は何事もなかったようにスタスタと歩き始める。
ふぅ。前のように戻れた気がする。
これでいいのだ。これで。
「もう、待ってくださいってば」
僕の手を取る。
「今日の帰りは待っていてください」
「........何でですか」
「裕也君と放課後デートをしたいからです」
「さようなら」
僕はそのまま歩き先輩を置いて教室に向かう。
「待っていてください…ね?」
後ろから聞こえた声に返事をすることはしなかった。
それから、いつも通りの学校生活を送った。ただ違うところがあるとすれば、いつもより授業に集中できなかったことと、先輩が昼休みに来なかったことだ。
「裕也、今日は急いで帰らないのか?」
「ああ、やることがあるから」
「ふぅーん。じゃあまた明日な。中間テスト終わったら遊ぼうな」
…僕は結局帰ることにした。
だが、僕は先輩のことを裏切ることになり、でも僕は信じれないというか女子と関わりたくない…って思っていると思う。
なら、その中間をとって、いつもより遅くいこう。
そういうことにした。
はぁ…自分で考えておいてバカだと思った。
僕はいつもより遅く教室を出て校門に向かう
そこには先輩が校門の柱に寄りかかっていた。
夕日に照らされた先輩がとてもきれいで不覚にも見惚れてしまった。
「あ、裕也君。いつもより遅いね。もしかして…私のこと.....」
「先輩が考えているような理由じゃないです。たまたま用事があっただけです」
「ふぅーん。そっか」
先輩がニコニコしている。
「じゃあ、いこっか」
「え?いやですよ」
先輩は待っていてくれと言った。それは守ったっていうか中間をとったけどデートに行くかは約束していない。
詭弁だとか屁理屈だとか言われてもいい。
気を引き締めると朝決めたんだ。それは守るというか、二度同じ過ちを犯さないために。
「えー、いいじゃないですか」
「........嫌です」
先輩は顔を近づけてもう一度
「行きましょ.....ね?」
先輩が僕の手を両手で握って顔をこてっと首を傾げてくる。
この人ゴールデンウィークのあの日からぐいぐい来るようになったなぁ。
でも僕はそんなことされても.....行かない。
「........ね?」
さらに顔を近づけてくる。もうほんとにキスしてしまいそうな距離だ。
流石に.....無理
「分かりましたから、離れてください」
「はい!ありがとうございます!じゃあ行きましょう」
先輩に手を引かれデー、放課後の買い物が始まった。
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