第5話 お買い物に行こう

第5話 お買い物に行こう


 まあ、かなり驚かれたが悪いことではないのでよしとする。

 その後ナナエさんに連れられて買い物に出た。


 資金は潤沢だ。

 クマのほかにも色々売れるものはあったのだが、これは一先ず後回しとなった。


「痛まないんならいつでもいいだろう、売り時というのも考えないとね」


 ということで今回は熊だけの買取となった。


 ここで冒険者の稼ぎ方の説明をしよう。

 といっても俺たちも聞いたばかりなんだけどね。


 ギルドというのは冒険者という契約社員を抱えた会社みたいなものだとおもう。


 例えば今回の熊。

 俺たちは商品を持ち込んだわけだが、これを換金しないといけない。


 なのでナナエさんが活躍する。


 やり方は二通りで、買取か委託販売。

 買取の場合はギルドに査定してもらって、その金額で納得がいけば買い取ってもらってブツはギルドが販売して利ザヤを稼ぐというやり方だ。


 熊のように解体していろいろ処理して売らないといけない場合は大概これになる。


 日持ちのするものなどの場合はギルドに委託して売ってもらうというやり方もある。

 希望金額などを設定してまあ、少し気長に待つわけだ。


 この場合は売却金額から手数料が引かれることになる。


 ほかの稼ぎとしては依頼の仲介などもある。

 これは例えば労働力を売るような場合だ。平たく言うと日雇いや期間契約の人足や従業員とかだな。

 ほかには護衛の依頼とか用心棒とかもある。


 どちらにせよここで活躍するのはナナエさんのような『営業の人』だ。

 よい仕事を取ってくるのも営業。

 入荷した商品より高く売るのも営業だ。


 そういう裏方なくして仕事が回らない。


 ということだ。

 なので今回の熊はギルド月影に買い取ってもらってあとはお任せということになる。

 これから解体とか、いろいろな処理とか大変な仕事が…


「さて、まず服を買いに行くかね」


「え? そっちが先?」


「もちろんだよ後回しはなしだ」


 ■ ■ ■


 さてさて、クマのお値段は234Gになりました。

 なんだろGって。わからんがな。


「Gっていうのはお金の単位だよ」


 姉ちゃんが教えてくれた。

 GはゴールドのG。


 Gの下にはSがある。

 10000Sが1Gだそうな。

 じゃあ1Gっていくら?


 という話になる。


 村じゃお金なんか使わなかったからなあ…全然わからん。


「えへへ、実は私もよくわからないよ。教わりはしたけどね。お金を使う機会なんてなかったから」


 だよねー。


 でも5000Sあれば宿屋に一泊できるらしい。食事付きで。


 んで一日1000Sあると結構豪華にご飯が食べられる。節約すると500Sで行ける。

 三食簡素なパンをかじるような生活なら200でも行ける。らしい。


 とすると1S=1円?

 んでもって1G=10000円?


 え? 熊って234万円もするのか?


「もももっ、ものすごく高く売れた?」


「あらあら、今頃気が付いたのかい。コリャ、買い物とかちゃんとさせて勉強させないとだめだね」


 そっすね。ダメっすね。


 俺たちはいきなり一年は遊んで暮らせるお金を手に入れた。


 ■ ■ ■


「でもダメよ、ちゃんとお仕事しないと」


「うん、わかっているよ」


 姉ちゃんのいうことはただしい。

 一年遊べるからといって遊んでしまうと収拾がつかなくなる。これは間違いない。


 じゃあ使わないでためるのが正しいのかというとそれも違う気がする。


 前世でおれは結構お金をためていた。

 お年玉や小遣いはそこそこだったし、バイトもしていたからちょっとした小金持ちだ。


 特に目的はなかった。

 ためておけばいざというときにドカンと使える。みたいなことを考えていたのだと思う。


 でも死んでしまったから意味がなかった。

 使えばよかった。


 死んでから後悔しても遅いのだ。


 今にして思えば、しゃれたレストランとか、ホテルとか…そんで桜を誘って…あの頃はとんでもないことだと考えていたが、今にして思えば結構いけたかもしれない。ような気がする。


 思い切って使ってしまえばよかった…なんてね。


 だけど安全マージンというのもあるから必要だからといってと使いまくるのも違う。

 難しいな。


 これはあとで姉ちゃんと話し合わないといけないど、いざというときの『予備費?』を確保したらあとはどんどん使って回す方がいいようなきがするな。

 うん、それをいくらぐらいにするか。

 後でちゃんと話し合おう。


 そんなことを考えているうちに服屋についた。


 ■ ■ ■


 こんな感じでどうだい?


「おー、姉ちゃんかっこいい」


 ナナエさんが見立ててくれた服はよく姉ちゃんに似合っていた。


 しっかりした生地のシャツ。コルセットとつながったようなスカートは柔らかくも防御力高め。

 ブーツは履いているし、なんか『隙が無い』感じの服装だ。


「とってもいいと思う」


「えへへっ、そう? あっ、パンツはね」


 そういうと姉ちゃんは長いスカートをするするとまくってパンツを見せてくれた。

 紐パンだな。コットンかな? 柔らかそうでイイカンジだ。


「これ、何やってんだい。あんたは全く。女は決して油断しちゃいけないんだよ。普段からしっかりした服をきる習慣を身につけな。

 ほれ、替えの下着に、これは寝間着だ」


 寝巻はネグリジェだな。

 スケスケではなく生地のしっかりしたやつ。


 これならちゃんと人前にも出られるだろう。


「さて、次はカイ坊だ。カイ坊はまだ小さいからそれほど…」


「いえ、私と同じレベルでお願いします」


「いや、そこまでは…」


「私と同じレベルでお願いします」


「あー、そうだね、兄弟だもんね、姉ちゃんだけというわけにはいかないかね」


 おっ、姉ちゃん押し切った。

 かくして俺は姉ちゃんの着せ替え人形として苦難の時間を過ごすことになってしまった。

 女の子と違ってあんまり気にしなくてもいいんだけどね。


 え? なんで女の子は気を付けるかって? それはこの世界の倫理観の問題だな。

 実際略奪婚とかあるのよ。


 レイプと何が違うのかわからないんだけどさ、女は力づくでやっちゃえばいいみたいなところが。そしてなぜか女が処女だった場合はレイプした男の嫁としてつれていかれてしまうのだ。なんじゃそりゃ!


 理解できないが、うちの姉ちゃんは美人だからな。絶対に油断するな。とナナエさんに教育されていた。

 だから服なんかでも脱がせやすい服とかはNGなのだ。


 と、そんなことをしているうちに俺もできました。

 これ綿だな。コットンの長そでシャツ、タータンチェックと皮のズボン。革のベスト。おお、なんかカウボーイ風。

 テンガロンハットがないのが残念だ。


 で、二人で集まってお金の計算。

 実は服って高いんだよね。


「シャツが私のが12000Sで、カイちゃんのが8000S。カイちゃんのズボンが3G5000Sで、私のスカートが2G8000Sで…

 ちょっと使いすぎかしら」


「服はしょうがないよ。それに長持ちさせるものだから」


「そうね。私のパンツが2000Sが5枚で、カイちゃんのふんどしが1500Sね」


 さすがに下着は安めだな。

 多分一年ぐらいは楽に使える物だろうから、コストパフォーマンスは悪くない…


「あれ、これは?」


 一つ2Gの服が…小さい袋に入ってる。


「えへへ、ちょっと贅沢だったけどおしゃれ着?」


「へー、うん、そういうのもいいんじゃない?」


 姉ちゃんも女の子だおしゃれぐらいするべきだね。


「あとでどんなのか見せてね」


「うん、ばっちりみせてあげる」


 二人であーでもないこーでもないとお金る使い方を覚えた一日だった。


「ジャン!」


「おー…」


 その日の最後に姉ちゃんのお洒落着披露。

 なんとレースの紐パンでした。

 すごくエッチだ。


「ちら?」


 大事なところがちょこっとだけ見えてる。というか見せてる。

 ダメだ。この人早く何とかしないと。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る