夏祭り─打ち上げ花火

 夜も深まってきて、祭りも終わりのムードが漂って来た頃。


「今年って花火あるっけ」

「確かあったはずだぞ」

「一応確認するか」


 チョコバナナの屋台に行き。


「おっちゃん、イチゴチョコバナナ一つ」

「あいよー」

「それと、今年って花火ある?」

「おう、もう少しで始まるんじゃねえか? あいよ、イチゴチョコバナナ」

「ありがとう」


「あるってよ」

「じゃあ、ぼちぼち移動するか」

「はーい」


 ☆


 神社が山の中ではなく町の中にあるので、どう頑張っても高いところには行けない。かといってビルに入ると風情がない。というわけで。


「なんでうちのマンションなんだ」

「まあまあ階が高いし」

「風情どこ行った」

「恋人と一緒に見られるだけで良さが倍増するから考えなかった」

「うわー」

「うん、これは」

「え、何俺やらかした?」


 香緒里も含めた五人で言う。


「「「「「ずるい」」」」」

「へ? あー、んー……」


 よくわかんない表情になった。まあいいやほっとこ。


 ヒュ~~パーーン


「おっ始まったぞ」

「きれいですね」

「わたしホウキ花火好きー」

「あれホウキって言うの?」

「知らなーい」

「知らないんかーい」

「でもやっぱりー」

「んー?」

「愛してる人と見る花火が一番好き!」

「……キスしていい?」

「いいよ! なんならこのまましたっていいよ!」

「よし、大城と香緒里には帰っていただこうか」

「しょうがない、帰ろうかおちゃん」

「はい!」


「あっちも帰ってからイチャイチャしそうだな」

「ちょっと! してるときに他の人のこと考えないで!」

「わかったわかった」


 祭りの夜はなかなか終わらないのだった。

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