夏祭り─おみくじ

「ははらはのほひほうふれは」


 口いっぱいに唐揚げを詰めこみながらハルが言う。


「食べながらしゃべらないで」

「ゴクッ……あのときこうポイを斜めにすれば、金魚取れたと思うんだけど」

「いや、あれはもうポイの耐久性が低くなってたぞ? どっちにしろダメだったと思う」

「そんなことない! もう一回しに行く!」

「はいはい。アキと彩華は?」

「わはひはへんほひほく」

「わはひはあっひいひはひ」

「うん、みんな飲み込んでから話そうか」


 ☆


 一段落して、神社に向かう。この夏祭りは神社が主催だということを忘れてる人いるんじゃないかな、ポイ捨てマン? ゴミ箱設置されてるのに。ペットボトルはこっち、壊れた水鉄砲はこっち、っと。


「こういうのダメだよね」

「わかる。拾いたくなっちゃう」


 少し片付けた。さて、本命行きますか。

 神社のおみくじを引くのは一年中できる。けど、初詣以外で神社に来るのがこういうお祭りのときぐらいだから、引きたい。

 一回百円で、みんなでおみくじを引く。もちろん見る場所は恋愛のところ。


「えーと、『良い人です』。完璧では?」

「私も!」

「え、みんな同じなの?」

「そうみたい」

「相性良すぎない?」


 最高だな、と頷きあっていると。


「お、ここにいたか」


 少し別行動してた大城と香緒里が来た。


「お前らもおみくじ引けよ」

「そうだな、気になるし」


 大城と香緒里が引いた。結果は……


「なんで!?」

「さあ?」


 香緒里は俺たちと同じ『良い人です』なのに対し、大城は『再出発しましょう』だった。


「うん、頑張れ」

「私はだいちゃんが相性いいのでずっといますね」

「俺、どうすればいいの……?」

「自分で考えな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る