海水浴旅行─二日目:ナンパ

「逃げろー!!」

「待てこらー!!」


 三人組の男に追いかけられてる俺たち四人。なぜこうなったかというと、十分程前に遡る。


 ☆


「遅いな……」


 旅行二日目。今日は一日遊ぶ予定。だが、肝心の女性陣が来ない。


「迎え行ってこいよ。俺は荷物見てるからさ」

「そうだな、行ってくる」


 更衣室の方面に向かっていると。


「ぐへへ、お嬢さんたち~、一緒に泳がな~い?」

「いひひ……」

「なんだあれ」


 ああ、あれが「海でナンパする金髪大学生集団」っていう種族か。初めて見たかもしれん。


「嫌です」

「婚約者がいるので」

「まあまあそう言わずに~」


 こいつらは気付いていないようだな。四人の後ろに鬼神がいることに。周りの人はもう逃げてるぞ。


「ほら~行こう? ね?」

「嫌です」


 触ろうとしたからオーラがさらに強くなっちゃったよ。しょうがない、そういう種族でも死なれるのは困るから行くか。


「すいませ~ん、うちの婚約者たちがどうしました?」

「コウ! 遅い!」

「お兄ちゃん、さっきから見てたでしょ!」

「ごめん、こういう種族の人と話すのは初めてで」

「なんだと? てめえはなんなんだ!」

「え? 婚約者ですけど? ねっ?」

「「「うん!」」」


 三人が俺にくっついた。視線を誘導している間に、香緒里に目配せして、先に逃がす。


「あ! 一人逃げたぞ!」

「やべ、気付かれた」


 三人に目配せ。


「そりゃ!」

「うおっ! 何すんだ!」


 顔めがけて砂をかける。目には入らなかったようだ。


「よし、逃げろー!!」

「もう許さん! 待てこらー!!」


 ☆


 そして現在。今は大城の待つ場所に向かって走ってる。


「あいつら意外と運動神経いいな!」

「まあ大丈夫でしょ」


 大城が見えてきた。足元にはビーチバレーボール。大城はサッカー部。わかるな?


「みんな頭下げろ!」

「はいよ!」


 頭を下げれば大丈夫。


「ぐはっ!」

「ぐえっ!」


 集団が全員倒れた。はい完璧。


「ちょっと君たち!」

「あ」


 海の家の人が来た。さすがに怒られるか。


「よくやってくれた!」

「え?」

「実は最近犯罪まがいのことをしてる集団がいてね。こいつらだったんだよ。警察には話通してあるから、あとは心配しなくていいよ」


 なんかよくわからん。

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