海水浴旅行─一日目:夜

 砂浜から遠くの場所でバチャバチャ遊んでたら、大城が泳いできた。


「どうした?」

「もうチェックインの時間だぞ」

「あれ、もうそんな時間?」

「夏は暗くなるのが遅いからな」

「じゃ、戻ろう」

「わかったー」


 四人で砂浜まで戻り、海の家のシャワー室で海水を落とす。普段着に着替えて、近くのホテルに向かう。


「えーと、六人で予約した加賀美です」

「加賀美様ですね、四人部屋と二人部屋でよろしかったでしょうか」

「はい、大丈夫です」


 この部屋構成。何も知らない人が聞いたら男と女で別れるように聞こえるだろう。だがしかし、俺たちは違う。


「やったー! お兄ちゃんと同じ部屋だ!」

「コウ~早く部屋行きたい~」

「こらこら、そっちのホテルじゃないよ」

「か~おちゃん♪」

「だ~いちゃん♪」


 うーん、ホテルマンの顔が若干ひきつってる。ごめんね、世間的にはこんなカップルいないよね。俺たちが特殊なんだよ。気にしないで。


 ☆


 俺のホテル選びに「失敗」の文字はない。四人で泊まれる部屋、そして。


「わあ、すっごい大きいベッド!」

「このホテルで一番大きいサイズのベッドらしい」

「だから階が高いんだね」

「みんな高いところ大丈夫だろ?」

「うん、むしろ興奮する。性的に」

「なんで!?」


 さて、夜ご飯食べようか。


 ☆


 ホテルのレストランで食べた。おいしかった。


「みんなでお風呂入ろー」

「ユニットバスなのに!?」

「さすがに交代制かなー」

「あ、俺固定ね了解です」


 そこからは、洗いっこしたり、抱きしめながら湯船に浸かったりした。俺はのぼせた。


「うふふ~夜はまだこれからだよお兄ちゃん!」

「え、そのピンクの箱は……するの?」

「温泉旅行のときにできなかったからするの!」

「しょうがない、付き合うよ」

「やったー!」


 朝方まで部屋の電気が消えることはなかったとさ。

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