海水浴旅行─一日目:浮き輪

 あまりのひも水着の破壊力にやられた。目を覚ますと、頭に柔らかい感触が。なんだ? この枕。

 ふにふに。


「ちょっと、お兄ちゃん、くすぐったいよ~」

「ああ、ごめん……え?」


 上を向くと、彩華の顔が。どうやら彩華の膝枕だったようだ。


「普段、ハルねえとアキねえにしてもらってるでしょ? 私もしたいから!」

「かわいい嫉妬! ウェルカム過ぎる!」


 一方、大城。


「かおちゃんの膝枕……」

「だいちゃんの寝顔……」

「「好き……」」


「隣が甘い空気になってきた」

「こういうカップルもいるんだねえ」


 ☆


 ハルとアキはカナヅチだ。もう一度言う。カナヅチだ。大事なことなので二回言った。


「浮き輪まだー?」

「もう少しー」


 双子の浮き輪を膨らませてる。ちなみに二人は胸がつっかえるので手を使わなくても浮ける。


「できたよ~」

「わーい! 行ってくる!」

「遠くまで行くなよ~」

「わかってる~!」


 二人は海に向かっていった。さて、俺も行くか。


「彩華も行くか?」

「今日はのんびりするー」

「わかった。香緒里は?」

「だいちゃんがまた寝ちゃったからまだ膝枕してる」

「了解。じゃ、早めに帰ってくるから」

「行ってらっしゃーい」


 ☆


 二人はだいぶ遠くに行っていた。さて、本気を出しますか。クロールは得意だ!


「コウ~こっち~」


 二人が呼んでる。行くぞ!


「必死なコウ、好き……」

「抱いて欲しい……」


 なんか言ってるけど今は二人のところに行くのが重要……いった!


「足吊った!」

「もー、準備運動しないで飛び込むから!」

「浮き輪に捕まって!」


 助かった。死ぬところだった。


「今日はこのまま浮いてよう……」

「それもいいね~」


 夕方まで三人で浮いてた。

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