海水浴旅行─一日目:水着

 夏休みの宿題? みんなすぐに終わらせたよ? 相変わらずハイスペック集団だな俺たち。


「わー人いっぱーい」

「海水浴シーズンにはまだ早い気がするけどな」


 現在、海に向かう電車の中。今年の夏休みの最初のイベントは、「婚約者と行く! ドキドキ! 海水浴旅行!」。ネーミングに異論は認めん。


「楽しみ~」

「去年は行けなかったからな」

「まさかコウが夏風邪にかかるとは思わなかったから」

「今年は来れたから去年の分まで楽しむぞ」


 ☆


 水着。どこを向いても水着。これはすごいな。目のやり場に困る。


「なんで足元ばっか見てるんだ?」

「自分の婚約者以外の女の水着を見たくない」

「そこまでしなくても」

「変に拗ねられたらやんじゃう」

「確かに俺もやむかも知れん。下向いとこ」


 と、俺たちが下を向いていると。


「コウ、お待たせ~」

「来たか、我が婚約者たち──」


 後ろを向いて言葉を失った。


「どう? マイクロにはできなかったけど……」


 マイクロほどではないが、布面積が少ない。ひもだし。これはヤバい。


「これが私たちからのサプライズ!」


 にししっと笑う彩華。あ、マズイダメだこれ。立ってるのがやっと。


「この状態でくっついたらどうなるかな?」


 ハルがおもいっきりくっついてきた。続いてアキと彩華。

 ふよん。女の子っていつ触っても柔らかいな……


「あれ!? コウが天に召されかけてる!」

「戻って来てー!!」

「かおちゃんのひも水着……ブハッ」

「だいちゃん!? 鼻血が……だいちゃん!?」


 俺たちが起きたのは一時間後だった。

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