一万円チャレンジ(二万円)

 期末試験の結果がいまいち(当社比)だった上、体育祭の成績もよくなかった双子が塞ぎこんでしまった。二人が悲しいと俺も悲しい。


「三人まとめて癒せるものを用意してくれ……」

「なんでお前もテンション低いの?」

「この三人は運命共同体だから……」


 彩華も忘れてないよ。四人で運命共同体。


「運命共同体全員を癒してください」

「通販で買ってもいいのか?」

「それはお好きに」

「よし、楽しみにしててくれ」

「元から期待してない」

「ひどいな!」


 ☆


 週末。大城の家に呼ばれた。訂正、大城と香緒里の愛の巣に呼ばれた。


 ──テレレレテレン、テレレレレン


 インターホンを押す。こういう音のインターホン、最近多いよな。コンビニに入ったときの音もこれだし。


「来たぞー」

『今開けるー』


 ガチャッ。ドアが開いて、大城が出てきた。


「ようこそ! って、四人で来たのか!?」

「運命共同体だから」


 体育祭の日の夜、彩華から「なんか調子が悪い」と連絡がきた。運命共同体だから、離れていても繋がってるんだな。という訳で、彩華も連れてきた。


「四人まとめてでお願い」

「めんどい」

「現金ホイはダメだぞ」

「そんなことしねえよ!」

「まあ期待してないから」

「そこは期待して?」


 ☆


「で、何すんだ」

「ふっふっふ、貴様はまだわからないようだな!」

「偉そうだから帰る」

「ま、待て! 幸太の誕生日パーティーだから主役は帰るな! ……あ」


 俺の誕生日? いつだっけ?


「自分の誕生日忘れてたの?」

「忘れてた」

「幸太の婚約者たちは?」

「「「覚えてた」」」

「今度パーティーしようと思ってた」

「くっ、誕生日を祝ってくれる友達と婚約者がいるってすごい幸せ……!」


 俺のテンションが上がってきた。


「わたしたちも元気になってきた」

「どういう原理なのそれ」

「「「「運命共同体だから」」」」

「言い切れるお前らがすごいよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る