体育祭

 体育祭。それは、体を動かすことが好きな人が楽しみ、それ以外の人が苦しむ、どの学校にもあるイベント。俺? 前者寄りかな。


「体育祭ぐらいはいい成績を残すよ!」

「ほどほどになー」


 期末試験の結果発表から一週間。双子は期末試験で思うような成績を出せず、悔しかったようで、体育祭で頑張るようだ。どういうことかはわからない。


「絶対にいい成績残すからね!」

「まあ、ほどほどに」

「さっきからそれしか言ってないな」

「二人が怪我をして一番悲しむのは俺だぞ?」

「もう、コウはすぐそういうこと言う!」

「好き! 愛してる!」

「なんで怒ってんだ」


 ☆


 生徒はサッカー、バスケ、テニス、ソフトボールのうち一つに参加できる。全競技はトーナメント形式。現役はその競技に参加できないルールがあり、大城はサッカー部なので、サッカーはできないそうだ。


「頑張って!」

「頑張ってかおちゃんにいいとこ見せる!」

「俺もやるだけやる」


 俺たちはバレーに参加する。チームは六人だが、残りの四人は同じクラスの運動神経がいいほうのメンツを集めた。


「相手、バレー経験者じゃないか?」

「中学でやめた人たちだな」

「まあ今年もほどほどで」

「りょー」


 ☆


 なんか知らないけど勝った。そして優勝した。ほどほどだったんだが。


「勝ったな」

「だな」

「だいちゃんカッコよかったよ!」

「ありがとう!」

「とりあえず双子の様子見に行くか」


 双子はテニスでダブルスをしてる。試合終わったかな?

 見に行くと、コートの隅っこに蹲ってた。


「負けた……」

「一回戦敗退……」

「あらら」


 目に見えて落ち込んでる。運動も勉強もうまくいかなかったから。これは立ち直るまで時間かかるな。


 ちなみに香緒里はクラスの仲良いメンツを集めてバスケで優勝してた。双子が不憫過ぎる。

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