ダブルデート─ゲームセンター

「ゲームセンター行きたい」


 彩華がそんなことを言い出した。


「ゲーセン? なんでまた」

「プリクラ撮りたい!」

「ダブルデートの記念?」

「いいね!」


 みんな乗り気だからいいか。あ、この間行けなかったからガチャ回してLR出さないと。サソリはいつ追加ですか。


 ☆


 ショッピングモールのゲームセンターってなんで端っこにあるんだろう。まあ、入り口前にいきなりあったら嫌だけど。


「疲れました……」

「香緒里以外、体力があるからね」


 大城はサッカー部。俺、ハル、アキはゲーム部(生物部)の幽霊部員だけどジム通い。彩華はバレー部。香緒里は調理部だから、このメンツに着いてこれるだけすごいよ。


「大城も彩華もレギュラーだからな」

「勉強も運動もできるチート集団だよ!」

「私、場違いすぎません?」

「よし、俺たちと同じジム行こうか……」

「一緒は嫌ですが仕方ないですね」


 なんか聞こえたけど体を鍛えることはいいことだ。毎日の夜の運動のためにもなるぞ。


「で、プリクラはどれがいいの?」

「最新型はこれ。でも、これだとペイントが充実してる」

「ペイントが楽しいんだろ? 二番目のほうにしよう」

「わかった」


 六人で入る。狭い。


「男陣、退散してもいいですか」

「ダメ、すっごい詰めるから待って」


 恋人モードを選んでる。ハートのスタンプめっちゃ押される未来が見える。


「これ何回撮るの?」

「三回」


 狭いけど我慢だ。女子が楽しそうだから。女の子の笑顔はこの世の宝。


 ☆


 撮り終わった。お絵かきタイム。


「ここにハートで!」

「ここは星かな」

「『祝! ダブルデート!』って書こ!」


 女子が盛り上がってると思うだろう? 男子なんだなこれが。普段いじらない物をいじって盛り上がってる。


「コウが楽しそうだとわたしたちも楽しい」


 出来上がったプリクラはみんなに配った。大城は自分の目をめっちゃ大きくして宇宙人みたいだった。他のメンツの顔は普通なのに。

 

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