ダブルデート─ショッピング

 電車で数駅。学校から離れた場所にあるショッピングモールにやって来ました。


「ここは初めて来ました」

「休日はインドア派?」

「家でゆっくりしていることが多いです。今は違いますけどっ!」

「おわっ!」


 香緒里が大城におもいっきり抱きついた。


「えへへ~」

「かおちゃん♪」

「だいちゃん♪」


 大城が香緒里を撫でる。二人ともデレッデレ。


「あのさ、ここ、ショッピングモールだってこと忘れてるよな?」

「「はっ!?」」


 周りの視線がすごいです。


「早く言ってください!」

「勝手に自分たちの世界に入っただろうが」

「自分たちだけの世界? そんなのあったら……うふふ……」

「薄々感じてたけどこの人怖い」


 大城と住むためにアパート解約するし。


 ☆


 女の子。それは、ファッションを探究せし者たち。その者たちの服選びは長い。なぜなら、探索と研究を合わせて探究という言葉になるからである。


「なあ」

「ん?」

「女子ってみんなこうなの?」

「そうだよ」


 モール内のブティックをひたすら巡り、気になるものは店員さんにキープしてもらう。そしてまた別の店に行く、の繰り返し。ハルとアキは幼馴染だし、彩華は妹なので、小さい頃からたくさん付き合わされた。もう慣れた。


「戻るよ~」

「了解ー」

「え、戻るの?」

「あっちのスカートとこっちのスカートで迷ったからもう一回さっきの店に行くの」

「え、女子ってみんなこうなの?」

「そうだよ」


 母さんだってこんな感じだよ?


「男がいる意味は」

「見てろ、今からだ」


 ハルとアキがこっちに来た。


「ねえ、このワンピースどう思う?」

「んー、ハルはイエローで、アキはグリーンかな」

「根拠は?」

「性格も含めて似合うかどうか」

「ありがと! これにする!」


 今度は彩華が来た。


「このジャケットどう?」

「カッコいい系は彩華が一番似合う。いい」

「えへへ~これ買お」


 香緒里が来た。


「だいちゃん出番」

「うえ!?」

「だいちゃん、このスカートとさっきの店のスカート、どっちがいい?」

「えっ、こっちのほうがかおちゃんが着たらかわいい……」

「あ、ありがと、買ってくるね」


 大城、初めてにしては文句なしだ。

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