温泉旅行─帰路

 午前中は温泉の件で疲れていたので、昼過ぎに旅館を出た。疲れている俺の顔を見て、三人に「おめでとうございます!」と言っていた女将さんの笑顔。予定にはなかった昼食を頂いたが、なんかなあ。


「ところで三人とも」

「うん」

「やったの? やってないの?」

「やってない」

「え、逆にやってないの?」


 気絶してる間にやったかと。


「やる訳ないじゃん! ……一応、体はさわりまくったけど」

「まあ、その程度なら」

「でも、さわられただけで、お兄ちゃんのアレが、ね?」

「解脱したい」

「欲望を捨てないで!」

「みんなが多すぎるだけだよ! 他に何かやってないよな!?」

「裸の写真撮りまくった」

「まあ、いいか。自分のためだけに使えよ?」

「当たり前じゃん! コウはあたしたちのモノだよ!」

「みんなの心は俺のモノだよ」

「「「抱いて!」」」

「体はみんなのモノだよ」


 ☆


 帰りの電車の中。現在、五人で帰宅中。


「長命寺さんも来たんだ」

「もうすぐ学校だし」

「とりあえず大城の家に直行でいい?」

「もちろんです! あっちのアパート解約したんで嫌が応でも転がり込みます」

「行動力すごすぎない?」


 なんかめんどくさい人が周りに集結してる気がする。


「とりあえず疲れたから寝る……」

「おやすみ~」


 ☆


「三人は加賀美さんを部屋に運んだ際のこと、言ったんですか?」

「あ、言ってない」

「なんかすごい持ち方してませんでした?」

「気にしないでください、平常運転ですので」

「うーん、噂になるのもわかる気がします」

「噂?」

「加賀美さんが双子に尻に敷かれているという話です」

「まだお尻をコウの上に乗っけたことないけど」

「そういう意味じゃなくてですね……」


 しばらく会話は続いたそうな。

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