温泉旅行─二日目:幽霊騒動

 花畑と温泉を満喫した。明日が旅行の最後の日だ。なんだか名残惜しい。


「そういえば、昼間に気になること言ってなかった?」

「何が?」

「夜中に髪の長い女の人が部屋に入ってきたって話」

「あー、あれ? 今日も来るかもよ?」

「今日寝れないかもしれない」

「大丈夫! あたしたちがいるから!」

「みんな……!」

「「「だから抱いて?」」」

「一瞬でも感動した俺の気持ちを返せ」


 ☆


 深夜。とても深夜。圧倒的深夜。怖い。ガクブル。


「震えすぎじゃない?」

「助けて」

「何から」

「俺の恐怖心」

「よし、みんなでぎゅっとしよう」


 ぎゅっ。


「ヤバい昇天する」

「永遠の眠りにはつかないで」

「安心してきた……寝れそう……」

「おやすみ~なんかあったら起こすね~」


 ☆


 しばらく寝ていた。だが、部屋の襖が開く音で起こされた。


「……」


 ほんとに髪の長い人来ちゃったよ。どうしよう近づいてきた。ちらっと横を見る。うん、三人とも起きてるな。寝たふりわかるぞー。これならいけそう。小さい声で耳打ちする。


「アキ、スマホのライトで目眩まし」

「了解」


 フラッシュ! こうかはバツグンだ!


「うっ!」


 髪の長い人が蹲った。とりあえず話を聞こう。フラッシュが効くってことは人間だし。


「なんで私たちが起きてるってわかったの?」

「ずっと一緒にいるからわかる」

「カッコいい」

「「「抱いて?」」」

「眠いからやだ」


 ☆


 髪の長い人に話を聞くことに。


「私、長命寺香緒里チョウメイジカオリと言います。この旅館の娘で、三人の隣のクラスです」

「そんな接点が。なぜ夜中に襲ったの?」

「普段はガードが固いので」


 俺を好きな人増えた。


「大城くんにお近づきになりたくて」


 自意識過剰でしたごめんなさい。


「普通に話しかけてよ?」

「このほうが確実かと」

「どういう発想?」


 大城の連絡先教えた。これはリア充が増えるかも。

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