温泉旅行─二日目:胡蝶蘭の湯

 ネモフィラカレーのお土産を買った。大城と忍者にあげよう。反応楽しみだな。


「おいしかった~」

「あの色でよく食べられるね」

「そう? 愚兄の料理ではあんな色、日常茶飯事だったけど」

有杜兄ユウトにいはマッドサイエンティストだったの?」


 ところで愚兄って。どれだけウザく思われてるかわかるね。


 ☆


 夕食を食べてから温泉に入ることに。今日は……ここだ!


「『胡蝶蘭こちょうらんの湯』?」

「そう」


 胡蝶蘭って名前の通り、蝶みたいな形の花だから好き。


 花言葉タイム。胡蝶蘭は『幸福が飛んでくる』、『純粋な愛』。花の形から来てるそうだ。


 『胡蝶蘭の湯』のお湯の色はピンク。花言葉は花の色が変わると追加されることがある。ピンクの胡蝶蘭は『あなたを愛してます』。ここで告白しろってことか? もう付き合ってるどころか婚約してるが。


「えー、矢車秋穂ヤグルマアキホさん」

「ん? どしたの?」

「もう一度言わせてください。あなたを愛してます。将来、結婚してください」


 跪いて誓う。


「え、改めて言われると照れる……」

「そして、矢車春香ヤグルマハルカさん。加賀美彩華カガミイロハさん」

「は、はい」

「え、何これ」

「三人を一生の伴侶として、ここに、四人で幸せな家庭を築いていくことを誓います」


 三人の手の甲にキスをする。


「はー、すごくカッコいい……」

「改めて言われるのすごい心の奥が温かくなる……」

「心だけじゃなく体も幸せにして欲しくなっちゃう……」

「「「だから抱いて?」」」

「婚前交渉は受け付けておりません」

「今日ぐらいいいじゃん!」

「子どもできたらどうすんの?」

「愚兄に押し付ける」

「その前にあっちに子どもができそう」


 あっちは毎日ベッドの上ですから。

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