温泉旅行─二日目:花畑

「……眠い」


 寝るのが難しいと感じたのは初めてだよ。よく手を出さなかったよ。でも、これ以上俺に好意を寄せてくる人が増えたらマズイかも。


「眠そうだね」

「誰のせいだと」

「夜中に来た髪の長い人」

「急に心霊やめて!」


 お化け屋敷は大丈夫だけどガチの奴はダメ! てかいつ来たの? 俺が寝た後? 祟られてない?


「さ、気持ちを切り替えて」

「コウの顔触ってたよ」

「見てたなら止めてよ!」


 ☆


 今日の予定。花畑に行ってのんびり。以上。


「まあこの旅はイチャイチャの旅だから変に騒がしいところに行っても、ね?」


 さすが彩華イロハ。よくわかってる。この四人の心は一つだよ。


 旅館からタクシーに乗って移動。花畑に来ています。花畑を散歩して終わりなので、少し遅めに旅館を出た。朝に温泉も入ったし。


 今の時期はネモフィラが開花時期の真っ只中。青い花で有名。でも、白や紫など、他の色もある。


「生物学年一位さん?」

「なんだね数学学年一位さん」

「ネモフィラの花言葉教えて」

「ほう、ついに君も花言葉に目覚めたか。ようこそこちら側へ」

「なんで茶番劇やってんの」

「化学学年一位さんには黙っててもらおうか」


 三人とも得意教科が違うんだよ。俺は生物、春香ハルカは化学、秋穂アキホは数学。


「えー、ネモフィラの花言葉は、『どこでも成功』、『可憐』、『あなたを許す』、かな? ちなみに、ネモフィラの和名は瑠璃唐草ルリカラクサ

「さすがお花大好きマン」

「変なあだ名やめて?」


 否定はできないけど!


「ん? どこでも成功?どこでも性k」

「それ以上いけない」

「イケn」

「何でも下ネタに繋げるのやめて?」


 昼食はネモフィラカレーでした。青いカレー、食欲なくなるはずなのに、ハルとアキはおかわりしてた。ある意味尊敬。

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