お揃いの指輪

「彩華はいつ帰るの?」

「早く帰って欲しいの……?」

「あと一日なら大丈夫」

「そっか、ゴールデンウィークもあと一日か」


 大城の家からマンションに帰ってきた。彩華もついてきた。長命寺さんは大城と二人で部屋に戻っていった。ゴムつけろよ? 親友が彼女を妊娠させて退学とかシャレにならん。


「わたしたちもしたい」

「ダメ」

「なんでこっちはダメなの?」

「よそはよそ! うちはうち!」

「オカンか!」


 ツッコミの仕方はあってるけど母さんにそんなこと言われたことない。全部許容されてきたし。


 ☆


 なんか三人とも拗ねちゃった。すまんな。将来の目標とかそういうの諸々決まってからなら毎日できるから。


「どうしよっかな……」


 リビングを追い出されたので、自分の部屋にいる。最近この部屋は完全に三人の部屋と化したので、双子の荷物もある。俺の物少ないからいいけど、君たちの部屋あるよね?


 やることもないし、三人の機嫌を直すしかないか。なんかないかな、と思ったが、旅行中にこっそり買ったプレゼントがある。明日渡そう。


 ☆


「お兄ちゃんはリビングで寝て」


 なんかみなさんずっとご立腹のようで、ご飯のときも目を合わせてくれず、お風呂も一緒に入れず、一緒に寝させてもらえなかった。寂しいな。


 リビングの隅から座布団を持ってきて胡座をかく。座禅。


 スッ──


 心が無に向かって行く──



「座禅始めちゃった」

「あれ、ほんとに精神状態がマズイときの行動だよ」

「こっちも意地張りすぎたかな」

「明日謝ろう」


 ☆


「──ふーっ」


 座禅のまま寝てた。落ち着いた。


「お兄ちゃん、昨日はごめんね」

「「コウ、ごめん」」


 三人が謝りに来た。そんなことより。


「こっち来て左手出して」

「「「?」」」


 三人の左手の薬指に指輪をはめる。花畑の近くのお土産屋で売ってた花の模様の入った指輪。ピンクのスターチス。花言葉は『永久不変』。ちなみに俺の左手にもある。


「安物でごめんな?」

「「「大好き!!」」」


 目がハートになった三人にめっちゃキスされた。幸せ。

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