温泉旅行─道中

 夜這いを温泉旅行に行く前日までの何日かに、毎日された。あのさ、精神がもたないんだけど? 理性を保つので精一杯。幸い匂いを嗅いだら寝てくれるので、まだ救いがある。でも好きな女の子三人に囲まれてる状況を耐えられたのがほんとにキセキ。いつまでも君の横で笑っていたくて。


「なんか変な笑い方してる~」

「でも好き~」

「何しても好き~」

「「「抱いて?」」」

「ふへへ、ダメです」

「あれ、酔ってる?」

「寝不足のテンションで変なだけらよ」

「呂律が回ってない」

「行きの電車では寝てもらおう……」


 大丈夫大丈夫、今襲われたら抵抗できないぐらいだから!


 ☆


「ぐっすりだね」

「すごいぐっすり」

「寝てる顔も良い」

「写真撮ろう」

「動画も撮っちゃう?」

「いいね! 後で送って!」

「了解、めっちゃかっこよく撮ってやる!」

「いや、素で良い人に対してそんなことしたら理性が完全にお亡くなりになられる」

「どんどん殺してけ」

「彩華ちゃんが暴走した」

「普段からでは」

「ついでにお一人様用写真を!」

「「ください」」

「しょうがない、秘蔵コレクションも何枚か付属してやろう」

「「あなたが神か」」

「ところでこの顔にイタズラしたくない?」

「私たちの色で染め上げる?」

「何しよっか」

「めっちゃキスする」

「普段あんまりしてくれないしいいかも」

「ついでに顔全体を舐める」

「「名案」」


 ☆


「ふわあああ、よく寝た……」


 電車に乗ってからずっと寝てた。目覚めが非常に良い。


「みんな寝てるな……起きろー」

「……はれ? 世界一カッコいいお兄ちゃんだ……」

「起きたか世界一かわいい妹よ」

「カッコいい婚約者だ……」

「世界一かわいい婚約者も起きたな」

「世界一いっぱいいるね」

「世界一ではないのでは」

「同率一位です」

「納得」

「ところで顔が若干ベタつくんだけど?」

「「「……知らないよ?」」」

「ならいいけど」


 後日SNSに、女子三人に顔を舐められる男の動画があがっており、三人には軽くお仕置きした。えっちいのはしてない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る