告白? 要らない

 朝、学校の靴箱を開けると、手紙が入っていた。ハート柄の封筒にハートのシール。久しぶりに来たか。


「どうしたの? 固まって。……うわ」

「……ゴミ箱に捨てたい」

「せめて読んだほうがいいと思う」


 一応、一応だよ? 俺にはハルとアキがいるから揺れ動かないよ?


「『放課後、校舎裏に来てください』だとよ」

「うわ」

「うん、ダメ」

「だろうね」


 全然響かない。せめて好きとかなんとか書いて、口で言いたいから来てくださいとかさ。……それはそれで違うな。


「で、行くの?」

「任せろ、いい案がある」

「あ、悪い顔だ」

「その顔も好き」


 ☆


「いやー楽しみだわ!」

「ソウダネー」


 俺の作戦。サッカー部の朝練で外にいる大城をしっかり確認し、彼の靴箱に手紙を入れる。そして宛名が書かれていない手紙を読んだ大城が喜ぶ、というオチ。すまん、犠牲になってくれ。


「はー、誰だろうな! 春香ちゃんと秋穂ちゃんよりかわいいことはないと思うけど!」

「お世辞でもうれしい」

「反応薄いな」

「ハル、アキ、かわいいぞ」

「「……もっと言って!」」

「格差社会」


 ハルとアキには俺の言葉に対する耐性がほぼないんです。気分によるけど。


 ☆


 放課後。大城は校舎裏に行った。俺らは先回りして物置小屋の陰に身を隠している。


 しばらくすると、金髪の女の子が歩いて来た。


「あ、あいつ」

「ヤバい子かぁ」


 最近金髪に染めた子。悪い噂が増えてるらしい。バスケ部の勧誘を受けなかったのもそういうこと。


 遅れて大城も来た。もう目的は達成したので聞きながら帰ろう。


「俺を呼んだのは、君かい?」

「え、手紙入れ間違えた? すいません、この話はなかったことに」

「え、ちょ、え?」


 おもしろいなー。


 ちなみに他にも金髪女子の手紙を受け取った男子がいたらしく、話によるとバスケ部に勧誘されたらしい。わからん。


「二人も毎回拒否するよね」

「「コウ一筋だから」」

「俺も矢車姉妹一筋なので」

「「抱いて」」

「ダメ」

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