ゴールデン

「ゴールデン!!」

「唐突」


 夜、家でくつろいでいるときに、アキが叫んだ。もちろん二人とも腕枕してます。


「もう少しだよ?」

「何が?」

「金週」

「二字熟語」

「ゴールデンウィーク」

「片仮名」

「Golden Week」

「横文字」


 やたらネイティブだった。まあ、謎なやりとりはさておき。


「そうか、ゴールデンなのか」


 もうすぐゴールデンウィークだった。何しようか。決めてもぐだぐだしてしなさそうだけど。


 ──ピロロロロロピロロロロロ


「うるさい!」

「この着信音は……」


 家族専用着信音! 矢車家または加賀美家からの連絡だ!


彩華イロハか。もしもし?」

『お兄ちゃん! ゴールデンウィーク予定ある?』


 電話してきたのは愛する我が妹、加賀美彩華カガミイロハだ。お互いにブラコン・シスコンなので、一日中メッセージを送りあっている。それが電話ということは重要なことに違いない!


「ないけど、どうした?」

『お兄ちゃんに会いたいな、って……』

「金曜日の夜から実家行こうかな!」


 土曜日からゴールデンウィークだから、三日以上は彩華に会えるということかっ!!


「コウは彩華ちゃん大好きだもんね~」

「あんなにかわいい妹は唯一無二だ! 絶対に嫁がせる訳にはいかない!!」

「病気だよ」

『私もお兄ちゃん以外の人に体を許したくない!』

「兄妹で精神科行く?」


 失礼な! 美しき兄妹愛だぞ!!


『スピーカーモードでちょうどよかった。お兄ちゃん、ハルねえ、アキねえ、四人分の旅行チケットがあるんだけど、行かない?』

「「「っ!! どこっ!!!」」」

『温泉! 混浴あるよ!!』

「「「行かないという選択肢はない!!!」」」

『じゃあ、チケット受け取りに来てねっ!』

「「「応っ!!」」」


 なんということだ…… ゴールデンウィークが今年はゴールデン以上にゴールデンだ……


「混浴……」

「襲える……」

『お兄ちゃんの裸……』

「アレッ、貞操の危機?」


 四人の童貞と処女がなくなりそうだな、と思いました(中学生並の感想)。

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