ジム

「久しぶりにジム行きたい」


 花見の翌日。つまり日曜日。朝からアニメを見ていた俺にアキが言ってきた。


「どうした? 突然」

「わたしたち、たまに行ってたでしょ?」

「そうだね」


 中学時代。詳細は省くが、諸事情により二人はジムに通ってた。高校に入ってからは、一ヶ月に一回行くか行かないかになった。


「そろそろまずいかな、って」

「……俺は何も言わん」

「コウだったら正直に言っても怒らないよ?」

「……顔のぷにぷに感が増した」


 笑顔で顔をつねられた。話が違うじゃないですか!


「この間の健康診断あったでしょ? 体重増えてたの」

「それはハルも?」

「あたしも……」


 どこまで息ぴったりなのこの双子。身長・体重・胸の大きさ。全部同じってどゆこと。


「よし、じゃあ行くか。ほんとは今話の感想を全力サーチしたかったけど」

「あとでして」


 ☆


 午後からジムに向かった。俺も久しぶりのジム。一ヶ月に五回以上来たいけど、二人に拘束されるから来れません。一緒に来ればいいのに。


「それぞれやって後で合流で」


 ここのジム広いから入口前でいいだろう。


「あれ? 加賀美さんじゃないですか。お久しぶりですね」

「あ、どうも」


 トレーナーの御手洗力ミタライリキさん。中三からお世話になってる人だ。


「今日はお一人で?」

「いや、双子もいますよ」

「そうですか。メニューは?」

「……考えてなかった」

「んー、ブランクを考えると、加賀美さんはこんな感じで、矢車姉妹はこんな感じですかね」

「おお、さすが」


 御手洗さんはすぐにタブレットでメニューを作成してくれた。プロ。


「加賀美さんはお一人でできると思いますので、お二人のケアをしてきます」

「お願いします」


 ☆


 メニューもこなし、いい時間になったので、二人の様子を見に行った。


「おや、加賀美さん。さすが二人です。ブランクがあっても全然息があがりませんよ」

「三人とも運動も勉強もできるってすごいね」

「不思議」

「また来よう」


 翌日に筋肉痛になることもなかった。俺らってスペック高過ぎ……?

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