看病(双子)

「くしゅん!」

「うー、頭痛い」


 耳そうじしてもらった次の日。ネグリジェで寝ていた二人が風邪をひいた。小さい頃から体が弱めなのに、リビングで寝るから。俺が膝枕で寝たせいですねすいません。


「コウ~」

「コウ~!」


 二人は病気になると甘えん坊になる。今も抱きしめられてる。あれ? いつもと同じじゃん?


「ごめんね、学校休ませて」

「大丈夫、大城にノート借りる約束してる」


 大城は実は頭がいい。定期試験は毎回順位一桁。俺? 毎回一位。双子が同点で二位。頭がいい奴って固まるね。


「冷たいシートおでこに貼って~」

「はいはい」

「汗拭いて~」

「はいはい」

「トイレ連れてって~」

「はいはい」

「おかゆ食べさせて~」

「はいはい」

「「抱いて?」」

「はいは……ハメるな」

「「てへっ?」」


 実は元気だろ。


 ☆


 夕方には二人の熱は下がった。スースーとかわいい寝息をたてて寝ている。ほっぺたむにむに。起きないな、ぐっすりだ。


 ──ピーンポーン


 インターホンが鳴った。


「はいはい、大城か?」

『おう、ポストに入れとくぞ。大変だなお前、二人もいて』

「さんきゅ。かわいいから苦にならない」

『相変わらずだな、お前は大丈夫なのか?』

「大丈夫じゃね?」

『まあバカは風邪ひかないし』

「誰がバカだ」

『勉強バカ』

「否定はしない」

『まあ、お大事に~』

「へーい」


 ポストからノートを取って寝室に戻ると。


「コウが! コウがいない!」

「この世の終わり……」

「何してんだ」


 固まって震えてた。目が覚めたときに俺がいなかったのでプチパニックを起こしたらしい。もしかして依存性が高いの? 俺って。


「はいはいここにいるよ」

「コウだ!」

「勝手にいなくならないで!」


 抱きついて滝のような涙を流してる。どんだけだ。


「今日は一緒に寝る!」

「いつもじゃん」

「今日はスペシャル版!」

「何が?」

「もれなく風邪をひきます」

「いらないです」


 翌朝、二人は治ってた。俺には移らなかった。

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