寝具のアップグレード

 土曜日。休みの日はだいたいイチャイチャしているが、今日はやらなければいけないことがあった。


「買い物行くぞ」

「ええー腕枕やめないでー」

「そう、枕。そしてベッド」

「どういうこと?」

「ベッド狭い」

「わかる」

「誰のせいだと思う?」

「大きいベッドを買わなかったコウのせい」

「それもあるけども!」


 二人が毎晩潜り込むからでしょうが!


「という訳で家具屋に行きます」

「「行ってらっしゃい」」

「一緒に行かないなんて珍しいな。どうした?」

「これからベッド変えるんだよね? 今のベッドの匂いを堪能しておかないと。そして一人で致す」

「そういう理由だったら連れて行く。二人の好みも聞きたいし」

「三人で一つになれる大きさなら大丈夫」

「二人はなんなの? 発情期?」


 ☆


 結局二人はついてきた。間接的な匂いより直接的な匂いのほうがいいらしい。気持ちはわかる。


「電動マッサージ機欲しい」

「何に使うかは聞かない」

「一人で致す時」

「言わなくていいです」

「ところでコウはしてるの? してる素振りないけど」

「まさかED?」

「心配しなくていいです。あとここ公共の場だから」


 俺だって男だ。二人がいない時なんてほぼないけど、隠れてしてます。見られたら乱入されるし。


 寝具コーナーに着いた。とりあえず店員さんに話しかける。


「すみません」

「はい、ベッドをお探しですか?」

「そうです」


 両腕にくっついてる二人を見た店員さんは、


「じゃあキングサイズはいかがですかハーレム野郎」

「急に口が悪い」

「私、ハーレム野郎だけはこの世から消したい主義なので」

「気持ちはわかる」

「じゃあなんでハーレム作ってるんですか?」

「「「お互いに依存してるから」」」

「それ大丈夫? 怒りを通り越して心配になってきた」


 結局キングサイズのベッド買った。セミダブルは実家に送った。誰か使うでしょ。あと、三人で使える横長の枕も買った。

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