通学路

 学校までは歩いて三十分。でもハルとアキ

は歩くのが遅いから一時間前に家を出てる。


「で、いつ俺離れするの?」

「「コウが死ぬまで」」

「俺死んだら後を追うよね?」

「「当然」」

「それ離れられてないよね?」

「コウ、バカは死んでも直らないものだよ?」

「自分でバカって言うんだ……」


 ぐだぐだしゃべりながら学校に行く。両腕は抱きつかれたままだ。


「いつもだけどさ、美少女二人に抱きつかれてるんだよ? もう少し反応があっていいと思うよ?」

「慣れた」

「……慣れって怖いねー」


 もう両脇にDカップがあっても気にならん。いや、周りからは「そうはならないだろ」と言われてるけど、本当に慣れた。柔らかいなー、ぐらい。


「……ちょっと、無言で揉み始めないで?」


 ……無意識だった。前言撤回。慣れてませんでした。柔らかいなー。


「ごめん、やっぱり二人は魅力がありすぎる。かわいいし、きれいだし、俺は幸せ」

「「……うふふっ」」


 おお、照れてる。やっぱりかわいい。三人でずっといられたらいいなあ。


「あ、また将来のこと考えてる!」

「コウは考えなくてもいいの!」

「コウは主夫で、」

「わたしたちが働いて、」

「「みんなで幸せになろ?」」


 美少女の全力スマイル。破壊力バツグン。勝てない。


「ところで今何時?」

「8時20分だね」

「学校は何時から?」

「8時30分」

「もう一つ質問。ここから学校まであと何分かかる?」

「「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」」

「よし、遅刻だな」


 高校二年生、初日から遅刻した。

 なお、始業式はギリギリ間に合った。

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