Episode.6「僕」

『誕生日おめでとう、美咲ちゃん』

『幸せになってね?』


「優しくて強いお姉さんも、泣きたいときは泣いてよねっ!」


そう書いた後、僕は空へ消えた。

成仏…って言うのかな?


僕は空の上から、彼女の様子を毎日見ていた。


あぁ、頑張ってるな。小説家になったんだね。


「キミは、もうとっくに“自分”を見つけられてるよ」って。

その言葉、僕が言ったやつじゃない?

ちょっと、著作権違反じゃない?ぷんぷん。


「ふぉっふぉっふぉ。楽しそうじゃな。優馬」


「か、神様…」


「優馬、ちょっと、生まれ変わってみないか?」


「はい!」



――5年後


「次の方~どうぞ~!」


「は、はい!」


5歳の僕は、彼女の小説の発売記念イベントに来ていた。


「山田ゆうまです!」

「美咲さんの小説、大好きです!」

「あと、誕生日おめでとうございます!」


「優馬…?」


彼女はやっと、気づいたようだった。

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