第32話 炎の想い 其の三
〝彼〟は私の、初めての〝
出逢ってより数年、〝彼〟は日々成長していた。
そんな〝彼〟を誇りに思いながら、私はその後を歩いていた。
〝彼〟に
討滅を成した私に〝彼〟が苦笑すると、かすかな痛みを胸に感じたからだ。
……やがて、〝彼〟の後を歩く者が増えた。
右目に
その女と私は、ことごとく
その女は
〝彼〟に無意味に密着し、夜には寝所に忍び込もうとさえした。
その女に、私は日課のごとく刀を抜いていた。
……討滅が減ったのは、それも理由だったかも知れない………
しかし、そんな女の
胸の奥を
それを認めてしまうと、もっと苦しくなると察していたから。
それを認めてしまうと、私の〝忠義〟は
〝彼〟に全てを
〝彼〟のためなら死ねる、と……
〝彼〟に
そんな私の存在意義である〝忠義〟は、決して偽りにはできないから………
だから、〝彼〟は私の初めての〝
〝主君〟であると、思い込もうとした…………
それが私の、11歳から15歳までの生涯だった………
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