第3話 外の世界
一方、世界は。
ある日、街の付近で久しぶりにモンスターが見かけられて騒ぎになった。
そのうち徐々に、目撃情報が増してきて「まさか魔王の復活か?」と噂されるようになった。
森や洞窟で暮らしていた山賊達が沸き出すモンスターに殺され、生き残りが村に逃げて来て、噂は確信に代わった。
同時期、元勇者の一行が消えたと言う話も伝わり、人々は「きっとまた、魔王討伐に旅立ったのだ」と有り難く思った。
また昔のように、冒険者が増え始めた。
冒険者は魔物を殺して金を稼ぎ、その金を街で使う。経済の復興だ。
人々は魔物に怯えながらも、街が活気を取り戻したことを喜んだ。
魔王復活から数年が経った。
平和な時代に生まれた子供達は少年になり、冒険者に憧れを抱き剣の修行をする。
だが、まだまだ彼らの危機意識は薄く、「勇者」を目指す者は居なかった。
国王は子供達に武器か魔法の修行をさせるよう、お触れを出した。
────十数年が経った。
最近、魔物の強さが増してきたようだ。村が襲われ農作物が奪われる。
勇者一行の噂はまったく聞こえて来ない。
──おそらく全滅したのだろう──。
人々はまた、平和を望むようになっていた。
────さらに数十年経った。
チラホラ、魔王城まで到達する者が出て来たが、いまだ魔王の姿を見た者は居なかった。
人々は強く、勇者の出現を願った。
それからまた数十年が過ぎた頃、王様のお城では───。
「王様。大事なお話がございます」
「なんだ、大賢者」
「そろそろ、勇者が誕生します」
「本当か!?いつだ、それは」
「正確には、勇者となる者がもうすぐ生まれます。その者が成長し勇者となるには、まだ二十年ほどかかるでしょう」
「そうか……しかし、やっと平和がやってくるのだな!私の治世の時代に勇者が誕生するとは、何と幸せな事だ」
「───そこで、王様には真実をお教えしなければなりません」
「……真実?」
───そしてある日、辺境の村で元気な赤ん坊が生まれた。子供の父親は冒険者で、剣の達人であった。
子供は父から剣を教わり、スクスク成長した。
「ボク、大きくなったら勇者になる!」
そしてある日、少年は旅立った。
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