第2話 記憶

突然悪いけど、彼女に関することを話させてほしい。彼女は中学一年生の時に初めて会った。いまのところ最初で最後の同じクラスだった。また、高校は同じでも科の中で、二区分されており、どちらも別の区分にいるためもう同じクラスになれる望みはない。(正直、心から望んでるわけではないけど)



第一印象はクラスの端にいるでもいないでもない感じだった。勿論意識はしていなかった。そこから意識するようになった記憶はないけど、少なくとも一年生の6月には多少なりとも気があった。なんなら多分ゾッコンだったと思う。とっても可愛らしい人で、人脈は広いわけでは無いけど、敵対してるようなひとはいなかった。今もだが、よく彼女のことを考えてしまう。女々しい男である。まったく、やれやれだ。



その年、一大イベントがあった。体育祭でも音楽祭でもない。三学期の間、席が隣だったのだ。月日からして3ヶ月。ここが中学校生活のピークだったと思う。信じられないくらい学校が楽しくて、絶対に学校を休まずに行った。この期間に知ったことは、彼女が星野源を好きだということだけだ。覚えている限りは。特に給食の時間、席が近い人達で組んだ班ごとで集まってランチタイムを過ごした。(そういう決まりだった)だが、知っての通り何もアプローチできなかった。チキン野郎な私である。



一年生の最後の方、体育の授業でダンスがあった。自由曲でなにか一曲グループを作って踊らなければならなかった。男女別であった。彼女のグループはこのころ流行った「恋ダンス」を踊った。私のグループもそれを踊った。できはよかったと思う。その結果、私は学年で有名になった。キレがすごいだかなんだか。そのダンスに関して彼女は私にこう言った。

「いつか、生であなた(私の苗字)のダンスを見たいな。」

私はこの言葉にやたらドキドキして、なにも返せなかった。少し気があるんじゃないかとさえ思った。

この言葉の真意を知りたい。期待してることじゃないことだってわかってるけど。

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伝えられない ふじゑ//Gorem @Gorem

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