伝えられない

ふじゑ//Gorem

第1話 期待

正直、同じ高校に行けるとは思ってなかった。それがすごい嬉しかった。それと同時に、同じ高校ということに甘んじてわたしは彼女、吉田に思いを伝えず、今に至る。告白する勇気を現実に甘んじて誤魔化したのだ。そのときに告白して、いっそ散ってしまえばよかったのに。



片想いの曲。好んで聞きやしなかったのに、最近はよく聞いている。といってもひとつの曲だけ。このとうていキレイとは言えない文を連ねている間もずっと聞いている。なんだか心にくるものがあって、辛いのだけど、聞いてしまう。

この曲の歌詞の一部の「君の運命の人は僕じゃない」に、共感をしてしまう。ほんとその通りなのに、いつまで僕は一寸の期待を捨てきれないのか。期待が許されないわけではないけど、その期待の分だけ辛い思いをするのは分かってはいる。分かってはいるけど…。



今の自分は限りなく青春をしている。しかも、負け組の青春。これが人生一度の青春なら立ち向かうべきだろうか。でも、負け戦するってどうなんだろう。なんで客観的に見て叶わない恋なのに、僕はほんのすこしでも期待してしまうのだろうか。

そんなことを考えているうちに、夏が過ぎようとしている。ちょっとだけでいいから、粉砕される勇気か、現状の改善案をください。

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