第11話 はるなんとかさんからのお手紙
いじめられているきみへ
きみは、学校に行きたくないって思うことがあるかな? まわりにいる人たちのことがきらいになることはあるかな?
ボクにはあったよ。中学生のころ。
女なのにボクなんて気持ち悪いって言われた。けられたりもした。だけど、ボクはボクでしかないし、納得がいかなかった。学校に行きたくなかった。みんなのことがきらいだった。
学校がきらいだったからなるべく早く家に帰って、シュミであるインターネットばかりしてた。いわゆる、現実トウヒっていうやつ。ネットの世界ではボクが「ボク」って言っても、女だって言っても、だれも気持ち悪いなんて言わないから楽しかった。
ある日、そのインターネットでたまたま、とある人の言葉を見つけた。
「この世の中は、あなたが思うより、ずっと広いのです。あなたが安心して生活でき
る場所が、ぜったいにあります。どうか勇気をもってにげてください。」
あのとき、この言葉がボクの心にズシンときた。どこかにある「安心して生活でき
る場所」のために、「にげて」も良いんだって、希望をくれた。
そうしてボクがにげた場所。それは、芸能界だった。
きみがテレビを見てくれてるなら、ここからの話は大体知ってるよね。ボクは演劇に興味があったから元々は女優志望だったけど、今のお仕事はバラエティー中心。でも、楽しいよ。だって今は、ボクをいじめる人がいないから。
もちろん、「どうして女の子なのにボクって言うの?」ってたずねてくる人はいる。だけどその人たちは、きちんと説明したらわかってくれる。
ちなみに、高校は中学のころの知り合いがいないところに入った。芸能活動ができるようにという理由だけど、おかけであの人たちからにげられた。
ねえ、きみのまわりにあるものはなにかな? イヤなことばかりなのかな?
もしかしたらボクのように、にげられる場所、それを手伝ってくれる人が近くに存在するかもしれないよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます