#18 ファイナル・クエスト・ドラゴン・ファンタジー

涼風翔也●ライブ

「今日は、3DフルポリゴンのRPGをやります。参加者は、高崎紫、水色あさがお、可愛美麗です」

「おー!」

「よろしくお願いします」

「なんであたしまで」


「ゲームは中世ヨーロッパを舞台にした魔法あり、技あり、リミットブレイクありの定番RPGです」

「涼風さんが作ったんですか?」

「そうです」

「すごい」

「生前はゲーム制作をなさっていたんですね」

「それはよく覚えてないけど」


「パーティは、勇者ゆかり」

「え? 私が?」

「僧侶みれい」

「がんばります」

「魔法使いあさがお」

「魔法かぁ。がんがん使っちゃうよ」

「そしてサポートとして戦士しょうや、不肖ながら俺がやります」




 スタートの街『ファースト』にやってくる。

「まず、皆さんの装備をそろえよう」

 武器防具店へ入る。

「皆さんの装備は用意してあるから。魔法使いあさがおには、これです」


 水色あさがおが光に包まれ、今まで着ていた衣服が脱げ、聖なる光に包まれると、魔法使いの衣装が身を包む。杖を手にして、変身完了。


「わあ。かわいい」


「次は僧侶みれい」

 可愛美麗が光に包まれ、今まで着ていた衣服が脱げ、聖なる光に包まれると、僧侶の衣装が身を包む。聖なるナイフを手にして、変身完了。


「一瞬、全身タイツを予想していたんですが、法衣とナース服を足してカラフルにした感じが良いかもです」


「最後に勇者ゆかり」

 高崎紫が光に包まれ、今まで着ていた衣服が脱げ、聖なる光に包まれると、勇者の衣装が身を包む。聖剣を手にして、変身完了。


「まあ、良いんじゃないんですか」

「カッコいいですよ紫さん」

「うん。カッコいい」


「それじゃ、俺も」

 涼風翔也は瞬時に変身。

「ノーマルな戦士です」

「それじゃ、チュートリアルいってみましょう」




 4人が草原を歩いている。


 [スライム 3匹現れた!]


「あさがお。魔法でモンスターを倒してみよう」

「あさ、リアルで魔法なんて使ったことないよ」

「今までゲームをしてきて、頭に浮かん奴をなんでもいいからぶっ放して!」

「それじゃあ、ファイア!」

 あさがおの杖から炎がほとばしり、スライムAを1匹、焼き殺す。

「やった!」

「ゆかり! 剣で攻撃」

「うぉりゃああああああ!」

 しかし、剣はスライムBにめり込んでしまう。

 スライムBの反撃!

 10のダメージ!

「痛い!」

「ゆかり。スライムは物理攻撃が効きにくそうです。魔法で攻撃して」

「魔法? え〜と、じゃあ。フリーズ!」

 スライムBの周りを、冷たい空気が包む。

 スライムBは氷漬けになった。

「おりゃあ!」

 再び剣を叩きつけると、スライムBは粉々になった。

「最後は僕が、えい!」

 会心の一撃!

 スライムCに20のダメージ!

 スライムたちを倒した!


 ♪レベルアップの音。


 戦士しょうやのレベルが上がった!

 魔法使いあさがおのレベルが上がった!

 30G手に入れた。

「美麗。ゆかりの傷を魔法で治してあげて」

「治す呪文? えーと、ちちんぷいぷい、ケガよ治れ!」

 ゆかりの傷が治る。

「みんな、がんばったね。この調子で行こう」

「ちょっと、攻撃受けるとリアルに痛いんだけど」

「ごめん。痛かった?」

「はい」

「俺が代わってあげられたら良かった」

 翔也は紫の傷跡を優しくなでる。

「ホントにごめん」

「じ、実はそんなに痛くなかったかな、はは」

「だいじょうぶ?」

「はい」

「それじゃ、冒険の旅へ出発!」

「「「おー!」」」




 四人は、鬱蒼とした森の中を歩いて行く。

「なんか出そうですねー」

「出る流れですね」

「おまいら、フラグ立てるな」


 突然、モンスターが襲ってくる!


 [バッドツリー が現れた!]

 [ポイズンキノコ が現れた!]


「木なら、あさにまかせて! ファイヤー!」

 モンスターは焦げる。

 焦げたモンスターを、翔也が一刀で塵にする。

 バッドツリーは倒れた!

「あさがお、ナイスファイト」

 [ポイズンキノコは毒を吐いた]

 ゆかりは毒に侵された!

「なんのこれしき!」

 ゆかりはキノコに斬りかかる。

 14のダメージ!

 ポイズンキノコを倒した!

 毒に侵されたゆかりを、美麗が回復する。

「ちちんぷいぷい 毒よ治れ!」


「それじゃ、先へ進もう」


 森を抜けると、沼地だ。

「ここ歩くの?」

「行きましょう!」

「熱いなあ。松●修●みたい」


 足を沼に沈め、ゆっくり、ゆっくり、歩を進める。

「なんか、足がピリピリ痛いんだけど」

「あたしも」

「あたしもですー」

「それはもちろん、ここは毒の沼だからさ」

「それを先に言え!」

「回復しながら進もう。美麗、頼んだ」

「まかせてください」


 突然、沼が盛り上がる。

「なに?」


 [どろどろどろり が現れた!]


 あさがおの魔法攻撃!

「ファイヤー!」

 どろどろどろりに1のダメージ!

 ゆかりの物理攻撃!

 どろどろどろりに12のダメージ!

 しょうやの攻撃!

 どろどろどろりに21のダメージ!

 どろどろどろりを倒した!


 パーティメンバーのレベルがあがる!

「みんな、良くやったよ!」


 沼を抜けると、小さな村がある。

「ここで、休憩していこう」

 村の宿に入る。

「4人で8Gになります。お泊まりになりますか?」

>[はい]

 [いいえ]


 四人が通された部屋は、ベッドがふたつしかない。

「ちょっと、ベッドがふたつしかないじゃない」

「RPGの宿屋なんて、こんなものだよ。俺は床で寝るから、みんなはベッドで寝て」

 翔也はゴロンと、床へ横になった。

「あたしたちはどうしますー」

「こうすればいいんだよ!」

 紫は、離れていたベッドをくっつけた。

「セミダブルベッドの完成だ」

 毛布を翔也に掛ける。

「ありがとう」

「別に、一枚余ったから」

「あたしたちは三人、川の字になって寝ましょー」

「毛布はお腹に掛けてね。冷やさないように」

「「はーい」」



 翌朝から、山道を登る。

「同人作家に坂道はつらい」

「紫さん、がんばって」


 突然、上空からモンスターが襲ってくる!


 [ハーバード が現れた!]

 [らくせき小僧 が現れた!]

 [敵は身がまえるよりはやく襲ってきた!]

 ハーバードが空からパーティを襲う。

 らくせき小僧は、落石を起こす。

 ゆかりは31のダメージ!

 しょうやは15のダメージ!

 あさがおは42のダメージ!

 みれいは35のダメージ!

「いきなりピンチじゃん!」

 美麗が素早く全体回復魔法を唱える。

「ナイス! 美麗!」

「ファイヤー!」

 ハーバードに33のダメージ!

 らくせき小僧に2のダメージ!

「鳥は剣攻撃が届かないが、呪文に弱い。らくせき小僧は呪文が効きにくいが、物理攻撃が有効だ」

「了解!」

 紫と翔也の物理攻撃で、らくせき小僧を倒す。

 あさがおの攻撃呪文で、ハーバードを倒す。

 怪我とステータス異常を、美麗が治す。


 ♪レベルアップの音


 メンバー全員、レベルがあがり、使える魔法や、特技が増えた。

「さあ、この調子で進もう!」

「なんか、松●修●ぽさに磨きがかかっていきますね」

「頼り強いですね」

「でも、うさんくさいんだよねー」

「そんなこと言わないでください」




 山を超えると砂漠が広がっている。


「暑い」

「でも、汗はかきませんね」

「太陽光線がひたすら痛い」

「砂地も地味に歩きにくい」

「涼風さん、ずいぶんとすいすい進みますね」

「これぐらい、どうってことないよ」

「さえざますか…」


 遠くに、緑色と水色が見える。

「あれって、オアシス?」

「だと嬉しいですね」


 そこにモンスターが襲ってくる!


 [サソリ が現れた!]

 [サウンドスネーク が現れた!]

 あさがおが氷の呪文を唱える。

 サソリに16のダメージ!

 サウンドスネークに23のダメージ!

 ゆかりの攻撃!

 サソリに33のダメージ!

 しょうやの攻撃!

 サウンドスネークに40のダメージ!

「魔法と物理攻撃で倒せそうだ」

 サソリは素早く襲いかかる!

 ゆかりに21のダメージ! 毒に侵された。

 サウンドスネークの攻撃!

 ゆかりに45のダメージ!

 ゆかりは戦闘不能になった。


「ピンチです!」

「美麗、蘇生呪文できない?」

「できません」

「ここは押し通して、オアシスへ逃げよう!」

 力押しでモンスターを倒し、オアシスへ逃げ込む。


 オアシスを中心に、小さな村ができている。

「ここは武器防具屋もあるし、オアシスには回復効果がある。さっそく、紫の蘇生を」

 教会でゆかりを生き返らせる。

「私、どうしたの?」

「戦闘不能になりましたが、今、蘇生しました」

「いや~。まさか死後の世界で、また死ぬとは思わなかったよ」

 泉に浸かって体力全回復。

 みんなが水に浸かるシーンは、聖なる光で見ることができない。

 武器防具を新調し、アイテムを整える。

「さあ、行きましょう!」

「「「おう!」」」




 砂漠を越えた先に、ラストダンジョンが口を開けている。

 ダンジョンに踏み入ると、ダークスライムや、キラーコオモリ、うごく鍾乳石などが襲ってくる。

 次々と襲いかかってくる敵を倒す。

 レベルがあがる。新しい呪文や技を覚える。

 パーティはレベルを上げながら、洞窟の最深部へ進んで行く。

 その先に、小さな宿屋と道具屋、教会がある。まるでこの先に、巨大なモンスターが待ち構えているようだ。

「お約束だね」


 体力の回復と、セーブ、小道具を買って、いざ、最終決戦へ!




 洞窟の先には、巨大化したタコさんウインナーと、禍々しい夢魔に身を変えた、ラリィ=ル・レロがいる。

「タコさんがラスボス?」

「ラリィさん!?」


 中ボス戦の、緊迫したBGMが流れる。

 [オクトパス が現れた!]

 [サキュバス が現れた!]

 サキュバスの攻撃!

 [誘惑]

 しょうやはサキュバスに心を奪われた!

 しょうやの攻撃!

 ゆかりに123のダメージ!

「痛ッ! てめー! みかたに攻撃するな!」

「翔也は的の術にかかってます!」

 オクトパスの攻撃!

 [なぎ払う]

 タコの足がメンバー全員をなぎ払う!

 ゆかりに56のダメージ!

 あさがおに76のダメージ!

 みれいに77のダメージ!

「ちょっと強くない!?」

「ボス戦ですし」

 あさがおの魔法攻撃!

 [火炎放射]

 オクトパスに215のダメージ!

「グアアアアア!」

 サキュバスに113のダメージ!

「アツイイイイ!」

 みれいの回復!

 [全員元気になれー]

 全員が300回復!


 サキュバスの回復!

 オクトパスを両手でキュッキュッっとマッサージ!

 オクトパスが108回復!

 オクトパスの攻撃!

 激しく触手を振り下ろす!

 みれいに214のダメージ!

「ゆかりさんまずいです。サキュバスは回復でます。サキュバスを集中攻撃して先に倒しましょう」

「了解!」

 ゆかりの攻撃!

 サキュバスに227のダメージ!

 あさがおの攻撃!

 [火炎放射]

 オクトパスに227のダメージ!

「あちちちち!」

 サキュバスに98のダメージ!

「熱いって言ってんだろ!」

 みれいの回復!

 みれいは300回復!

 しょうやはサキュバスに見とれている!


 サキュバスの回復!

 オクトパスを両手でキュッキュッっとマッサージ!

 オクトパスが108回復!

 オクトパスの攻撃!

 [なぎ払う]

 タコの足がメンバー全員をなぎ払う!

 ゆかりに66のダメージ!

 しょうやに45のダメージ!

 しょうやは我に返った!

 あさがおに80のダメージ!

 みれいに90のダメージ!

 ゆかりの攻撃!

 サキュバスに198のダメージ!

 あさがおの攻撃!

 [火炎放射]

 オクトパスに256のダメージ!

 サキュバスに89のダメージ!

 みれいの回復!

 全員が300回復!


 オクトパスの攻撃!

 [スミ]

 スミがしょうやにかかった!

 しょうやは前が見えない!

 しょうやの攻撃!

 ゆかりに128のダメージ!

「こいつ後でぶっとばす」

 サキュバスの攻撃!

 [誘惑]

 しかし効かなかった!

 ゆかりの攻撃!

 サキュバスに212のダメージ!

 あさがおの攻撃!

 [火炎放射]

 オクトパスに266のダメージ!

 サキュバスに104のダメージ!

 みれいの回復!

 全員は300回復!


 オクトパスの攻撃!

 [なぎ払う]

 タコの足がメンバー全員をなぎ払う!

 ゆかりに40のダメージ!

 しょうやに39のダメージ!

 しょうやはうろたえとまどっている!

 あさがおに84のダメージ!

 みれいに89のダメージ!

 ゆかりの攻撃!

 サキュバスに268のダメージ!

 あさがおの攻撃!

 [火炎放射]

 オクトパスに301のダメージ!

 サキュバスに89のダメージ!

 サキュバスを倒した!

「やった! あとはタコだけです!」

 みれいの回復!

 全員は300回復!


 オクトパスの攻撃!

 [なぎ払う]

 タコの足がメンバー全員をなぎ払う!

 ゆかりに52のダメージ!

 しょうやに44のダメージ!

 しょうやはうろたえとまどっている!

 あさがおに80のダメージ!

 みれいに70のダメージ!

 ゆかりの攻撃!

 オクトパスに256のダメージ!

 あさがおの攻撃!

 [火炎の玉]

 オクトパスに512のダメージ!

 オクトパスを倒した!

「やった~!」

「やった」

「やりましたね」

 しょうやはもとにもどった!

「いやあ。大苦戦だったね」

「「「おまえ、なにもしてねーだろ!!!」」」




 世界は明るくなり、全員は元の、VTuberの姿に戻る。タコさんウインナーとラリィも元の姿で現れる。


「みんな、どうだった?」

「え?」

「はい?」

「役立たず戦士がなにか言ってる」

「いてーんだよ」

「マジで痛かった」

「火炎魔法マジ熱いし」

「そりゃあね。ゲームの中とはいえ、みんなその中に入っているから」

「こんな目にあうんだったら、やるんじゃなかった」

「ラリィさん。生きていた時のほうがずっと痛い思いしてたじゃないですか」

「どんな時も痛い思いなんかしたくないわ」

「タコさんはどうでしたか? ラスボスの気分」

「悪くなかったよ」

「紫はどう?」

「いてーつってんだろ。聞こえなかったのか!」

「あさがおさはどう?」

「火炎魔法ぶっぱなして、爽快でした」

「それは重畳」

 へばっている美麗。


「どうでしたか? 仲間同士戦う気分は?」

「「「良くないわ!!」」」




「え~。あたしは楽しかったよ」

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