第6話
部屋を出るには玄関を通らなければならないが、もちろん誰も部屋から出てきたりはしていない。
俺は全裸のままで真里沙に電話した。
「どうしたの、何かあったの?」
「実は……」
俺はいまあったことを、物凄い勢いで真里沙に伝えた。
「すぐ行くわ」
電話は切られた。
しばらくぼうとしていたが、俺は自分がまだ素っ裸であることを思い出した。
真里沙は二十分ほどでやって来た。
いつもよりも少し早めだ。
そして部屋に入るなり、強い口調で言った。
「影を見たのね」
「影?」
「そいつは古くから、影と呼ばれているわ。一般的には生霊とかドッペルゲンガーとか。まあ影と生霊とドッペルゲンガーは、似ているけど違うものなんだけどね」
俺は影について興味は持ったが、今はそれ以上に気になることがあった。
「それで俺はどうすればいい?」
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