第7話

「じっとしててね」


真里沙俺の正面に回ると俺の両肩に手を当てた。


「ちょっと熱いわよ」


言ったそばから彼女の両手のひらがどんどん熱くなっていった。


とてもじゃないが、生身の人間の体温ではない。


俺は少し身をよじった。


「動かないで! 死にたくなかったら」


真里沙が今までに聞いたことがないほどに強く言った。


俺の動きは完全に止まった。


「死にたくなかったら」という一言が効いたのだ。


まだ二十歳になったばかりだと言うのに、死にたくなんかはない。


でもかなり熱いことにはかわりがない。


じっと我慢するのもなかなかにきつい。


いつまでこうしていればいいのかと真里沙に聞こうとしたら、彼女が手を離した。


「終わったわ。多分軽く火傷をしているから、シャワーでも浴びて冷やしてくるといいわ」


俺は何も言わずに風呂場に行き、シャワーしばらく浴びた後、居間に戻った。

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