第54話 灯フェステバル




♡竹生町の長い昼が終わって、夜の部に変わったの。

町民には前もって抽選券が配られていてね。駅前の、元シャッター通り商店街で抽選がおこなわれるんだ。ライブで汗をかいたまきのはシャワーを浴びて浴衣に着替えて、優作様とおデートみたいね。

 いつもの古い町並みは提灯や和蝋燭の柔らかい光に包まれている。

その街中を二人はぶらぶら手をつなぎ歩いている、町の人も気を使って誰も声をかけないみたいね。♥




「あっ、ちくわくんのお母さん!ほらこの子まだ持っていますよ。この子にあたし助けられたんだ。あれからこの子の兄弟の売り上げはどうですか?」


「それが、すごく、に、人気になっちゃい、まして。。こんど、海外でも、、、お仕事をいただいて。竹生も、このお祭りのあとで、契約がおわるので。でも、本当ありがとうご、ございました!」


「うんうん、センスあるって思っていたから、これからも頑張って、たまにはこっちに顔を出してください!」


「ほら優くんみて、このちくわくん、かわいいでしょ。」


「あはは、もう、ち、ちくわで、いいです。」




♡本当はチュロスではなかったっけ?この作者がこの町をアーテイストの街にする原動力になっていくんだよね。

 しばらく二人で歩いていると、ヒゲの隊長が子供を連れて灯フェスティバルにきていたみたいね。優作様ったら緊張しちゃって。背筋がまっすぐだよ。♥




「あっ、隊長さん!おつもご愛顧ありがとうございます。」


「ああ、高島さん。いつもお世話になっています。お二人は仲がいいですな。」


「た、た、隊長!ありがとうございました、隊長のおかげで!」


「あれは、仕事だ!報告書はちゃんと出すように!」


「はいっ!わかりましたっ!」


「ねぇねぇ、おねーちゃん、このお兄ちゃんのお嫁さんなの?」


「えっ、っと、それは、どうなのかな。あはは。」





♡隊長の娘がマキノたちに抽選チケットをみせたのね。♥





「あのね、みさのお楽しみ券のばんごうね。3333番なんだよ、すごいでしょ!」


「さすが、お父さんが山東雄三さんというぞうさんだけあって3なんだね。」


「はは、3ですな。ではこれで失礼します。」





♡隊長と別れてしばらく歩いていると、強烈な訛りの男の声が聞こえてきたの♥





「ああ、マギノじゃねーか!あっ彼氏さんといっしょがぁ。」


「いいんだ、マキちゃん優ちゃんとおデートしてぇ。」


「なんで、虎姫くんと莉緒ちゃんが一緒にいるの?」


「あらら、気になるのマキちゃん。」


「特にそんなことは、ないけど。」


「虎姫さんに案内してもらってるのよ。どこにどんな照明があるかとか、ウチのろうそくをどこに使ってもらってるとか。」


「ああ、莉央のおかーさんには世話になったからなぁ。おめーらもついてくっか?」


「えっと、やめとく、なんか悪いし。」


「なんでマキちゃんが照れてるのよ!


「じゃぁ、莉央いくが。なんだかこの二人に悪いしよぉ!」




♡まぁ、いいんじゃない、夏も短いことですし、てか、あいつの訛りどんどんひどくなっていくわね。

 二人は商店街を抜けるとオレンジ色のろうそくの明かりが湖岸まで続いていたの。普段よりも風情がある感じで、一緒に浜まで出ると。

水面に、数え切れないくらいの青白い明かりが漂っていたわ、湖面の波をうけると波にわせて光が揺れてとても幻想的な風景だたの。♥




「これが、虎姫くんの言ってた、1万球のLEDの光の玉かぁ、すごい幻想的だね。」


「ほんとだ、なんかみとれちゃうね。」





♡湖面に浮かぶ光のページェントはみているものをロマンティックな気持ちにさせるみたい、ほら浜のあちらこちらで若いカップルが。こちらもご多忙に漏れず、マキノと優作様も瞳を見つめ合い、そして。。。♥




♡はい、ここまで!それから先は想像におまかせするわ。うふっ。

 こうやって。百年祭は無事に終わることができたの。


そして暑い夏が過ぎ、季節は巡り、まきのが竹生に来てからの8回目の春のこと♥

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